2013 Fiscal Year Research-status Report
疾患特異的iPS細胞を用いた早期乳児てんかん性脳症の病態解明と薬剤評価系の構築
Project/Area Number |
25870617
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
千代延 友裕 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40571659)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | iPS細胞 / てんかん性脳症 / STXBPI / PIGW |
Research Abstract |
早期乳児てんかん性脳症は生後早期に頻回かつ難治の発作を認め、重度の発達遅滞を呈する疾患であるが、その病態は不明なことが多く、有効な治療はない。我々は、STXBP1遺伝子変異を有する乳児てんかん性脳症患者の皮膚線維芽細胞にエピソーマルプラスミドを用いて6因子を導入し、iPS細胞を樹立した。解析対象とした5クローンのすべてにおいて染色体核型(G分染法)は正常であり、STXBP1遺伝子変異を有することをサンガー法で確認した。これらの疾患特異的iPS細胞の未分化マーカーの発現を免疫染色、RT-PCRにより確認し、SFEBq法により神経細胞へ分化誘導させることに成功した。以上より、この系は乳児てんかん性脳症のヒト細胞モデルとして有用であると考えられる。現在、この系を用いて、STXBP1遺伝子異常による神経細胞の分化障害の解析に着手している。 また、別の乳児てんかん性脳症患者において、フローサイトメトリーにより、血球のGPIアンカー型タンパク質の発現低下を見出し、次世代シークエンサーを用いたターゲットリシークエンスによりPIGW遺伝子に複合へテロ変異を同定した。このことから、PIGW遺伝子変異がGPIアンカー生合成経路の異常をきたし、乳児てんかん性脳症を発症させることを明らかにした(Chiyonobu T, et al. J Med Genet 2014;51:203-207)。 これらの結果は多彩な病因をもつ乳児てんかん性脳症の病態解明につながる重要な基礎データであると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度中に疾患特異的iPS細胞の神経分化系を確立でき、STXBP1遺伝子変異による神経細胞の分化障害に関して、いくつかのデータを得ている。また、PIGW遺伝子変異によるGPIアンカー生合成異常が乳児てんかん性脳症の原因となることを明らかにした。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、前年度に確立した分化誘導系を用いて、STXBP1遺伝子変異による神経細胞の分化障害を詳細に解析し、てんかんおよび発達遅滞の発症機序を明らかとしたい。さらに、この系を用いて分化障害を改善させる化合物を同定し、疾患の治療へ向けた基礎データを集積したい。
|