2013 Fiscal Year Research-status Report
膵癌腹膜播種に対する新規診断法ならびに新規治療法の開発
Project/Area Number |
25870622
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
村山 康利 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50578979)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 消化器外科学 / 膵臓外科学 / 医用画像 |
Research Abstract |
難治性の癌である膵癌に対する新たな微小癌巣の診断法を開発し、最終的には、過不足のない個々の患者に適したオーダーメイド治療の実現を目指す。5-aminolevrinic acid(5-ALA)はヘムの前駆体物質であり内因性のアミノ酸である。5-ALAが癌細胞内で特異的に代謝され、蛍光物質であるprotoporphyrinIX (PpIX)を蓄積するという性質を利用して、術中の光線力学的診断ならびに光線力学的治療に関しては基礎的に検討する。 10例の膵癌患者に術前に20mg/kgの5-ALAを内服してもらい、切除標本に対する蛍光観察では腫瘍組織に一致してPpIXの蛍光が確認できた。しかし、蛍光強度の弱い症例やリンパ節でのfalse positive,negative例も認めており、今後の検討課題である。 5-ALA処理を行ったヒト膵癌細胞株(Panc-1)の細胞密度の希釈列を作製し、通常の腹水細胞診同様の遠心分離後の共焦点顕微鏡(FV1000:Olympus)を用いた蛍光診断では、PpIX陽性細胞が確認された。また、同希釈列を用いてフローサイトメトリーを行う事でPpIX陽性細胞の分離が可能であり、今後臨床応用に向けて検討を引き続き行う。 ヒト膵癌細胞株Panc-1を5-ALAで処理した後に、各種波長のLEDで光を照射し、細胞死の効果をMTT assayで測定すると、照射を行っていない細胞株と比較し、照射例で有意に殺細胞効果を認めた。その波長は青色が最大の治療効果を有し、赤色が一番弱いという結果であった。担癌マウスモデルでの検討もLED照射群でコントロールと比較し有意な腫瘍縮小効果を認めた。HE染色では壊死部分が多く、免疫染色ではアポトーシスの部位も認めたが、全範囲ではないため、今後さらに検討する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に行う予定であった内容はほぼすべて行う事ができた。ただ、症例によるPpIXの蛍光強度の差や、リンパ節での偽陽性、偽陰性例っも認めておりその理由や改善策については今後検討する必要があると考えている。 5-ALA処理を行ったヒト膵癌細胞株(Panc-1)の細胞密度の希釈列での蛍光観察ではPpIXの蛍光が観察された。また、同希釈列を用いてフローサイトメトリーを行う事でPpIX陽性細胞の分離が可能であった。しかし、本年度では細胞診で陽性の症例が認められなかったため、来年度も引き続き臨床応用に向け検討を行う。 細胞株に対するPDTの検討では、有意にコントロール群と比較し、殺細胞効果を認めた。また、担癌マウスモデルでのLED照射でもその高い抗腫瘍効果が確認された。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、概ね計画通りに進められたため、平成26年度に行う予定の内容を行う。平成25年度での新たな課題、具体的には症例によるPpIXの蛍光強度やリンパ節での偽陽性、偽陰性の原因を追究する。また、腹水での診断に関しては、実地臨床でも診断可能かについて引き続き検討する。 平成26年に行う予定は上記の課題と、『膵癌腹膜播種、肝転移、リンパ節転移診断に対する蛍光腹腔鏡検査への応用』ならびに『ヒト膵癌細胞株ならびにマウスモデルに対する光線力学的療法の有用性とABCG2を阻害する事によるPDT効果の増強についての検討』を行う。
|
Research Products
(13 results)