2013 Fiscal Year Research-status Report
β遮断薬が及ぼす心臓手術周術期の心筋細胞内小胞体ストレス変化と遺伝子治療への応用
Project/Area Number |
25870623
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
谷口 文香 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 病院助教 (40515285)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 遺伝子治療 |
Research Abstract |
(平成25年度)冠動脈バイパス手術患者症例において、右心房筋を採取し、小胞体ストレス、細胞死に関連するPCRアレイ結果等により、新たな情報伝達系の周術期変化を探索すること。予定On-pump CABG手術患者より採血(手術前、冠動脈再建終了直後、2時間後、8時間後、24時間後)、及び右心耳の一部(冠動脈再建前後の2回)の外科的採取を行い、β遮断薬内服群、非内服群で以下の項目の周術期変化を比較検討した。具体的な研究手順は以下の通りである。 1.心筋細胞を用いたPCR アレイ及び、定量的PCRによるmRNA発現変化の測定 a.RNA の単離 ホモゲナイザーを用いて組織破砕後、RNA Isolation Kit 等の使用 b.逆転写酵素反応 RNAよりcDNAへの変換 c.PCR アレイを用いて、小胞体ストレス、細胞死に関連する細胞内情報伝達物質においてβ遮断薬内服群、非内服群間で有意差のある物質をふるいにかける。d.有意差のあった情報伝達物質に関して、定量的PCR法によりmRNAレベルでの発現を詳細に定量検討する。 2.タンパク質発現変化の測定 PCRアレイにより、β遮断薬内服群、非内服群で有意差のあった遺伝子に関して、タンパク質レベルでの発現変化を見るためMedimachine(組織から細胞分離する装置、現有装置)を用いて心筋細胞を単離後、Flow Cytometry法または、Western Blotting によりタンパク質発現の評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、On-pump CABG予定手術患者よりより、採血、心筋採取を行いmRNAの発現をPCRアレイで周術期の発現の変化を比較した。炎症、細胞死に関連するmRNA、タンパク質の発現変化に関して、術前、術後において有意差をみた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は臨床研究で違いのあった、遺伝子がIn Vitro系で再現が可能かを以下の実験系で検討予定である。 (In Vitro系) 心筋細胞を用いた培養実験系に於いて、In Vivo系で変化のあった細胞内情報伝達物質の制御系を明らかにすること。 a. ラット心筋細胞培養による虚血再還流後心筋収縮障害の評価 b. ラット心筋細胞の遺伝子ノックダウンによる虚血再還流後の心筋収縮障害の評価 また、実験の途中経過で心筋細胞内のmicroRNAの発現において、On-pump CABG患者に周術期の変化を発見したため、年度途中で次世代シーケンサーを共同購入した。したがって、これらの機器を使用する事でmicroRNAの網羅的解析を行う予定にしている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度に施行した臨床研究の結果より、次年度に次世代シーケンサーによるmicroRNAの網羅的解析を含む細胞培養を用いた研究において、必要な試薬を購入するためキットを含む高額な消耗品代が必要である。 本研究に用いられる試薬(次世代シーケンサー関連の消耗品、siRNA関連品、PCR関連品、インヒビター、抗体、ペプチド、ELISAキット、Nulcleofection法を用いた関連試薬、培養関連品等)も、本実験の遺伝子導入及び、遺伝子、タンパク質発現の評価に欠かせないため、請求する。
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