2015 Fiscal Year Annual Research Report
NSAIDs起因性消化管傷害におけるインフラマソームの役割の解明と新治療法の確立
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25870624
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
灘谷 祐二 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 後期臨床研究医 (00634007)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | NSAIDs小腸傷害 / インフラマソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で、Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs(NSAIDs)小腸傷害形成にインフラマソームが重要な役割をはたしており、インフラマソームの中でも特にNLRP3インフラマソームが小腸傷害形成の悪化因子であることを、動物モデルを用いて証明した。 具体的にはNSAIDsによる小腸傷害形成に伴い、Total IL-1βの誘導が認められた。同時に、NLRP3 mRNAの発現上昇とCaspase-1のCleavageが認められた。それに伴い、NSAIDs小腸傷害の悪化因子である、IL-1βの成熟化がみられた。NLRP3もしくは、Caspase-1の遺伝子欠損はtotal IL-1βの発現を抑制するとともに、Capsase-1のcleavageとIL-1βの成熟化を抑制することにより、NSAIDs起因性小腸形成を抑制した。このように、NSAIDs起因性小腸傷害の形成機序にインフラマソームが深くかかわっていることを明らかとした。 また、我々の以前の検討でNSAIDs起因性小腸傷害の発生に関与していると報告済みであるToll like Receptor(TLR)4の遺伝的欠損により、NSAIDs起因性小腸傷害は抑制されると同時に、IL-1βとNLRP3のmRNA発現も抑制された。NSAIDs起因性小腸傷害によって引き起こされるCaspase-1のCleavageとIL-1βの成熟化もTLR4遺伝的欠損により抑制された。反対にTLR4のリガンドであるLPS、HMGB1の投与により、 IL-1βとNLRP3のmRNAの発現量増加をみとめた。以上よりTLR4シグナルの下流にこのインフラマソームが存在していることが明らかとなった。 また、同研究により、NLRP3インフラマソームの阻害薬であるコルヒチンがNSAIDs小腸傷害の治療薬となる可能性を見出し、現在新たな実験で証明中である。
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