2013 Fiscal Year Research-status Report
ドデカボレートアンモニウムを導入したBNCT用がん親和性ホウ素分子の合成と評価
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25870625
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
服部 能英 大阪府立大学, 21世紀科学研究機構, 客員研究員 (50514460)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | BNCT / ホウ素薬剤 / ホウ素アミノ酸 / ホウ素クラスター |
Research Abstract |
ホウ素中性子捕捉療法 (BNCT) 用ホウ素薬剤の分子設計において、アニオン性のドデカボレート([B12H12]2-)は、高いホウ素原子占有率、低毒性および高い水溶性など、ホウ素薬剤に求められる性質を備えていることから、有望なホウ素原子団であると考えられている。しかし、無機性のドデカボレートを腫瘍親和性有機分子に直接導入することは困難であり、その有機分子化に関する報告例は非常に少ない。 そこで本研究では、これまで殆ど研究されてこなかったドデカボレートアンモニウム([B12H11NH3]1-, DB-NH3)を、腫瘍親和性有機分子に導入した新規なホウ素薬剤の開発を目的として展開するものであり、DB-NH3を導入するための素反応の開発、および腫瘍細胞による集積性と細胞内分布、中性子線照射による殺細胞効果等の生物活性評価を行う。 25年度の研究では、DB-NH3をアシル化することのできる反応方法について詳細に検討を行った。その結果、p-ニトロフェニルエステルを用いた活性エステル法を利用し、様々なアシル化DB-NH3を合成することのできる反応条件を見出すことができた。 さらに、腫瘍親和性の高いα-アミノ酸のカルボキシル基をDB-NH3で修飾したAA-BNH2の設計し、上述したDB-NH3アシル化反応を利用して計4種類のAA-BNH2の合成を行った。その結果、4種類のAA-BNH2をそれぞれ、対応する保護アミノ酸から3~5段階、全収率50%程で合成することに成功した。 次に、合成したAA-BNH2について、BNCT用のホウ素薬剤としての評価試験を行った。その結果、AA-BNH2はBNCTの臨床研究に用いられている薬剤よりも非常に高い中性子照射による殺細胞効果を示し、BNCT用のホウ素薬剤として有望な化合物であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、1.DB-NH3の有機分子化反応の開発 2.DB-NH3含有腫瘍親和性化合物の設計・合成 3.BNCT用薬剤としての評価 の3種の研究から成り立っている。本年度においては、その3点に関してそれぞれ一定の成果を得ることができた。 まず有機分子化反応の開発に関しては、アシル化反応に焦点を当てて検討を行った。その結果、一般にアミド結合を形成するために用いる縮合剤では様々な副反応が起きてしまい収率良くアシル化体を得ることができなかった。そこで、活性エステルを用いたアシル化について検討を行ったところ、p-ニトロフェニルエステルを用いた場合のみアシル化反応が進行することを見出した。さらにこの反応を利用して、これまでに合成することのできなかったα炭素を有する様々なアシル化DB-NH3の合成に成功し、本反応が幅広い基質に応用できることを確認することができた。本反応により、今後様々なDB-NH3の誘導体合成のための足がかりを得ることができたと考えている。 次にこのアシル化反応を利用して、腫瘍親和性分子にDB-NH3を導入した化合物の設計・合成を行った。腫瘍親和性分子としては、これまでにBNCT用ホウ素薬剤の母核分子として比較的よく用いられているアミノ酸を選択し、このα-カルボキシル基にDB-NH3を導入した誘導体(AA-BNH2)を4種類合成することに成功した。 さらに、合成したAA-BNH2のBNCT用薬剤として評価を行い、AA-BNH2が高い中性子照射による殺細胞効果を示す有望な化合物であるという評価結果を得ることができた。 以上の結果から、初年度の目的はほぼ達成できたと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度につづいて、1.DB-NH3の有機分子化反応の開発 2.DB-NH3含有腫瘍親和性化合物の設計・合成 3.BNCT用薬剤としての評価の3点について平行して研究を進める。 まず、DB-NH3の有機分子化反応としては、引き続きDB-NH3アシル化反応の反応条件の最適化を行うとともに、新たなDB-NH3の有機分子化反応の開発についても検討を行う。具体的には、DB-NH3の窒素原子が非常に高い求核性を持つために、通常のアルキル化反応では複雑な混合物となってしまい困難であるとされているDB-NH3のモノアルキル化反応について検討を行う。本反応を確立することによってより多彩なDB-NH3含有化合物の合成につながるものと期待できる。 また、25年度に合成したアミノ酸にDB-NH3を導入した誘導体(AA-BNH2)の詳細な生物活性試験を行い、DB-NH3含有化合物が高い活性を発現するメカニズムを明らかし、その結果を分子設計にフィードバックする。 その一方で、25年度に合成した誘導体は4種類のみであり、化合物をスクリーニングしていくには数が少なすぎるため、有機分子化反応の結果を基により多彩なAA-BNH2ライブラリー構築を行う。特に、アミノ酸の側鎖部位にDB-NH3を導入した化合物や、アミノ酸以外の腫瘍親和性分子を母核としたDB-NH3含有化合物の設計・合成を計画している。また、上述したDB-NH3のモノアルキル化反応が確立でき次第、これを利用したDB-NH3含有化合物の設計・合成を進める。 そして、新たに合成した化合物についてスクリーニングを行い、BNCT用のホウ素薬剤として利用可能なリード化合物の創出を目指す。
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Research Products
(4 results)