2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25870632
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
森井 沙衣子 兵庫県立大学, 環境人間学部, 助手 (60387892)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | スチームコンベクションオーブン / 大量調理メニュー / 炊飯 / 大量調理のための標準化 / トマトジュース / 調理特性 |
Research Abstract |
新調理システムを導入している大量調理施設は病院や福祉施設,事業所など多岐にわたるため,上手く活用すれば緊急時でも対象者に衛生的で栄養バランスの整った食事を提供することできる。災害時では野菜や果物など摂取不足が懸念されるため,レトルトではなく通常の献立として喫食できることが被災者にとっても非常に有用である。 そこで本研究では給食施設が緊急時食事提供機関としての役割を果たすために, 高い衛生基準を満たし中期的な保存性と高い嗜好性を併せ持った大量調理メニューの開発を最終目的とする。 平成25年度はHACCP衛生基準で調理を行うための食材に合わせた調理プロセスを決め,それに基づいて作業工程,調理工程スケジュールを決定し,食品の調味液の量を確立させる。食材の適温加熱温度および調理時間の調整を行い, 標準化に向け,一定の調理条件(温度,時間など)を決定し、食品の物性測定,官能評価を行うことでおいしい調理品の調製を行う。まず,緊急時に摂取不足しがちな栄養素を主食であり,エネルギー源として重要である炭水化物とともに同時に摂取可能である食品として,まずトマトジュースで炊飯を行うトマトライスを新調理システムでの標準化することを目的に実験を行った。 その結果,トマトジュースに含まれる固形分の影響から水分が米粒に吸水されにくくなることから,トマトジュースを多く加えると硬く,付着性が小さい飯となったと考えられた。家庭用の鍋や炊飯器で炊く場合はトマト固形分の沈澱層が厚くなるため,鍋内の温度差が大きくなり,芯のある飯となる。スチコン炊飯は少量調理の場合よりも対流しにくいと考えられるため加熱ムラは生じやすいと思われたが,トマトライスの場合は,ホテルパンが浅いために比較的均等に加熱が行われたため,少量調理の炊飯と大きく異なりトマトライスの炊飯にはスチコンが適している可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調製した食品の物性測定 , 官能検査を行い,従来のクックサーブとの比較を行い,炊飯時に対流が起こりにくいトマトジュースが米飯に及ぼす影響を明らかにすることができた。しかし,他の新調理システムを活用した食品を調製した後にすべての食品の細菌検査を行うことで,細菌検査のための有効期限のある試薬などを無駄にすることなく,食品の品質保持期限を明らかにすることが可能であると考えられたため,現段階では食品の保存性を明確にするための細菌検査は行っていない。そのため研究達成度は「 (2)おおむね順調に進展している。」とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の計画として,平成25年度に調製した食品の調理過程の再考および新たに新調理システムを使用した食品の調製を行う。さらにそれらを発展させ,調製した食品の品質保持検査,組織観察を行い,大量調理に適した食品の調製および調理特性を明らかにすることを目標とする。調製した食品を異なる保持環境で保存し,保存期間を細菌検査にて明確にする。細菌検査は一般細菌数,E.Coli,大腸菌群数,黄色ブドウ球菌数,サルモネラ属菌数などそれぞれに適した培養方法を用いて測定し,食品規格(食品衛生法)の規格基準に当てはめて保存性を評価する。また組織形態の観察は、新調理システムにて調理された食品を顕微鏡にて食材形態変化を観察し,外観および食品内側の状態を評価する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
新調理システムを活用した食品を調製した後にすべての食品の細菌検査を行うことで,細菌検査のための使用期限のある試薬を有効利用することで,食品の品質保持期限を明らかにすることが可能であると考えられたため,細菌検査を行う実験を次年度に行うこととした。そのため,細菌検査に使用する試薬などの消耗品費が次年度の繰越金として生じた。 次年度についても今年度と同様に新調理システムを使用した食品の調製を行うための食材料費およびそれらの測定のための実験消耗品を補充する。また文献についても研究に関係する書籍の購入を行い,研究成果発表のための旅費および論文投稿料にも使用する。
|
Research Products
(4 results)