2013 Fiscal Year Research-status Report
ヒストンメチル基置換酵素SETD8を標的とした肝細胞癌の新規分子標的治療薬の開発
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25870638
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
速水 晋也 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (00468290)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メチル基置換酵素 / エピジェネティクス / 肝細胞癌 |
Research Abstract |
当研究室が有している肝細胞癌サンプル(手術標本)を用い、免疫組織学的検討を行ってタンパクレベルでのSETD8の発現をチェックする。すでに2000年~2007年の127例の肝細胞癌ブロックからtissue microarrayを作成し、できるだけ誤差を少なく、一度に検討できる系を構築している。当科ではその手術標本とリンクした腫瘍因子・背景因子・手術データに関する膨大かつ詳細なdatabaseを有しており、臨床に直結した検討を可能にしており、再発/転移・予後との相関等を中心に統計学的解析を行い、SETD8高発現が肝細胞癌において果たす臨床的意義を解明する。 細胞実験においてSETD8の発現解析を行い、siRNAを用いたSETD8抑制系の構築を行い、SETD8が肝細胞癌増殖に重要な因子であることを再確認する。これまで長く共同研究者としてSETD8の癌に対する寄与を検討してきており(研究業績4)、SETD8がS期への進行を促進すること、またS期においてDNA鎖伸長に重要な役割を果たすPCNA (proliferating cell nuclear antigen)がSETD8の新規メチル化基質であることを同定した。PCNAメチル化における機能解析を中心に、またSETD8による癌化への寄与はメチル化酵素活性を中心にはさまざまなpathwayが存在することが予想され、並行してmircroarrayを行い、SETD8から正の調節・負の調節を受ける新規下流遺伝子をTwo-dimensional, unsupervised hierarchical cluster analysisを行い解析し、同定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.HCC Tissue microarrayの作成(追加)・免疫染色 すでに作成しているtissue microarrayに加え、2008年以降の肝細胞癌切除症例もバンク化を行う。前回同様に伊藤彰彦教授(現 近畿大学医学部病理学講座主任教授)の指導の元、各症例につき腫瘍部2箇所・非癌部1箇所ずつ適切な病変部位を同定し、組織マイクロアレイヤーでパラフィンブロックにcoreを開け、薄切しスライドを作成する。以前の症例に関しては免疫染色を終了しており、追加実験を行う。 2.細胞実験・siRNA抑制系の構築 当研究室で保管している肝(細胞)癌細胞株はHepG2・Hep3B・Huh7・Huh1・PLC/PRF/5・HLE・HLFがあり、SETD8の発現をWestern blottingで確認した。1次抗体は先述のSETD8抗体、2次抗体はanti-mouse HRPを用いる。Knockdownの系はsiRNAを用い、invitrogen社に依頼して2種類のSETD8に特異的なsiRNAを作成し、リポフェクション法でLipofectamine2000 (invitorgen)を用いてtransfectionを行った。Western blotting・Colony formation assay・Cell counting kit-8 (同人化学)を用いたGrowth assayなどの解析を行い、SETD8を抑制することで肝癌細胞の増殖が抑えられることを証明した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の予定として、以下の計画を行った。 1.細胞周期解析 (FACS) SETD8は既報より細胞周期に関連、特にS期を進行させる役割を持つと言われているため、BrdUを用いたFACS解析を行う。すでにsiRNA系の構築は行っているため、SETD8を抑制することによって癌細胞における細胞周期への影響を検討する予定である。 2.Ki-67との相関関係 Ki-67発現量と悪性度には正の相関が見られ、腫瘍組織における増殖細胞を検知するマーカーである。SETD8と同様に免疫染色 (ICCおよびIHC)を行い、SETD8発現との相関をチェックする。追加で作成したtissue microarrrayも用いて、免疫染色を行う予定としている。
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