2013 Fiscal Year Research-status Report
アーツ・アンド・クラフツ運動にみる非モダニズムの射程
Project/Area Number |
25870640
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 真魚 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70625756)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アーツ・アンド・クラフツ / ウィリアム・モリス / 適合性 / 民芸運動 |
Research Abstract |
本年度は資料の収集・整理および英国アーツ・アンド・クラフツ運動と鳥取民芸運動に関する言説研究を中心に行った。研究成果は以下の6点にまとめられる。 1)研究体制の確立。2)資料収集:日本の民芸運動と英国の関係に関連する資料の収集・閲覧に重点を置いた(吉田璋也,バーナード・リーチ,柳宗悦)。なお,英国への渡航を当初予定していたが,本年度の英国関連の研究についてはすでに収集済みの資料をもとに遂行可能であったため,次年度に渡航を実施する。3)アーツ・アンド・クラフツ運動の思想家・実践家の整理:関連文献を整理するとともに,関連人物の思想的特徴と相関関係について整理・分析を進めた。4)英国のアーツ・アンド・クラフツ運動に関わる言説研究:ウィリアム・モリス,T・J・コブデン=サンダーソン,C・R・アシュビー,W・R・レサビーの著作を中心に解読を進めた。また,理論的背景を解明することも試みた。とりわけ,同運動における「適合」の概念とパトリック・ゲデスの都市論の連関について,「美」の概念の意味の変容とジョン・ラスキンの思想の連関について検証した。5)鳥取民芸運動に関わる言説研究:まず,吉田が収集したモリス文献を整理した。次に,民芸運動とモダニズムの関係の分析のための予備的考察として,吉田璋也と丹下健三の民衆に関する言説を比較検討した。6)研究成果の公表:モリスの書物論とアーツ・アンド・クラフツ運動の関わりについて1編の査読論文にまとめ,掲載が決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画における初年度となる本年度,所属変更に伴い,当初予定していた英国での資料収集が実施できなかったが,英国のアーツ・アンド・クラフツ運動について,研究目的に掲げているアシュビーの理論と活動にとどまらず,同時代人であるレサビーの理論を含めて検証することができた。また,鳥取民芸運動について,次年度における研究の展開が見込まれる予備的考察を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては,本年度に得られた知見をさらに精査するとともに,新規に英国のモリス商会やヒール商会の理念と活動に関する研究に着手し,研究論文や報告会を通して成果を公表する。また,最終年度においては,個別的に発表された論考を横断する「非モダニズム」の視点を総括する。そのために,次年度にモダニズム論や英国ロマン主義など理論的文献研究をさらに進める計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
所属研究機関変更に伴い,本年度に予定していた英国への渡航ができなかったため,旅費として予定していた分を使用しなかったたこと,および,掲載決定となった論文の投稿料として計上していた支払い分が次年度に請求されることが主たる原因である。 次年度に二度,海外への渡航を予定している。また,次年度5月に上記論文投稿料の請求がある見込みである。
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Research Products
(9 results)