2015 Fiscal Year Research-status Report
アーツ・アンド・クラフツ運動にみる非モダニズムの射程
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25870640
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 真魚 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70625756)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アーツ・アンド・クラフツ / 赤い家 / 作家性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も昨年度に引き続き,英国アーツ・アンド・クラフツ運動の展開に関する言説研究と作品研究を中心に行った。研究成果は以下の5点にまとめられる。 1)英国のアーツ・アンド・クラフツ運動に関わる言説研究:日本におけるモリス受容という視点から,大正期の雑誌記事を中心に調べ,受容の諸相を整理した。2)英国のアーツ・アンド・クラフツ運動に関わる作品研究:モリスの自邸である「赤い家」について,日本における受容の観点から,富本憲吉(工芸家),大槻憲二(批評家),蔵田周忠(建築家),柳宗悦(思想家)による評価を分析した。「作家性」という観点から整理することによって得られる,富本と柳の評価の相違点に関する知見は,日本における民芸運動を検討する上で重要である。3)モリス商会の作品研究:モリスが手がけた作品群におけるモティーフの意味・独自性について検証した。4)現地調査:前年度の研究を補完するために英国に渡航し,ヴォイジーの作品群に訪問し,現状や詳細の確認および写真撮影を行った。5)成果の公表:日本におけるモリス受容について,論文を2編まとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では最終年度となる本年度,日本におけるモリス受容を調べる必要性が生じ,当初予定していたヒール商会などモリス以外の作品に関する研究を十分に行うことができなかった。また,研究計画時のエフォートを下回り,個別的に発表された論考を横断する「非モダニズム」の視点を総括するまで至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
科学研究費補助事業(学術研究助成基金助成金)補助事業期間延長承認申請書を提出し,次年度において,アーツ・アンド・クラフツ運動に関わる作品研究とこれまでの研究内容を貫く「非モダニズム」の視点に関する総括的内容をモダニズムや英国思想に関する理論書と合わせて検討する。その成果を研究論文や報告会を通して公表する。
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Causes of Carryover |
「非モダニズム」の視点を強化するための理論書を本年度中に購入できなかったこと,および「その他」の費目に計上していた論文投稿料をほとんど使用しなかったことが大きな理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
理由に記した書籍の購入代および論文投稿料として使用する。
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Research Products
(6 results)