2014 Fiscal Year Research-status Report
都市輸出による温室効果ガス削減効果の定量評価に関する研究
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25870642
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Research Institution | The University of Shimane |
Principal Investigator |
豊田 知世 島根県立大学, 総合政策学部, 講師 (30550016)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | インフラ輸出 / 温室効果ガス削減 / 火力発電 / モーダルシフト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、都市輸出やパッケージ型インフラ輸出がどれほど開発途上国都市の低炭素社会に貢献できるのか定量評価するとともに、国際比較をおこない、わが国の都市輸出やパッケージ型インフラ輸出の比較優位性について明らかにすることを目的としている。今年度はわが国の事例として、日本のインフラ施設が海外へ導入された場合の温室効果ガス(GHG)削減量の定量評価を行った。 日本では、「インフラシステム輸出戦略」のもと2020年までにインフラ輸出を約30兆円にまで拡大する目標が立てられており、インフラ輸出による新興国の環境への貢献も期待されている。そこで、本研究では日本のインフラ輸出による新興国の環境改善の定量評価を、温室効果ガスGHGに着目して推計を試みた。分析対象は、計画通りにGHG排出量が最も多い火力発電の中から石炭火力発電事業と、交通分野のなかでも鉄道事業に着目し、推計を行った。また、対象地域はアジアとし、中国、インド、ASEAN諸国への影響を推計した。 分析の結果、火力発電施設建設によっても、発電所の効率改善によるGHG削減効果が大きいことが示された。また、交通分野は道路輸送から鉄道輸送へとシフトさせるモーダルシフトのGHG削減効果は大きく、輸送需要が増加する途上国では有効であることが推計された。ただし、交通構造の変化の方法と、燃料転換による排出構造を考慮してしなければ、鉄道事業によってかえって排出量は増加する可能性が示された。そのため、セクター別ではなく、川上から川下までの総合的なインフラデザインが重要となることが示された。本年度の研究結果については、国内外の学会にて報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はほぼ計画通り進行することが出来た。ただし、インドで実施されている事業へのヒアリング、調査を予定していたが、先方と日程の調整が出来なかったため、ベトナムと中国の事例を中心にヒアリング、情報収集を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
終年度は、わが国の都市開発や省エネインフラ設備による削減効果の推計や、他国とわが国の環境配慮型都市を総合的に比較し、今後の低炭素型社会の推進に向けた課題や政策的提言についてまとめ、論文として国際誌に研究結果を公表することを予定している。
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Causes of Carryover |
論文投稿用の英文校閲費を予算につけていたが、国際学会誌への投稿前の準備として学会報告を行ったため、国際学会誌投稿用の英文校閲費を使わなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度、研究のまとめとして国際論文へ投稿する際の英文校閲費として使用予定。
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Research Products
(3 results)