2014 Fiscal Year Research-status Report
小学校のカリキュラムに適合した作曲学習ゲームの開発と評価
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25870644
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
佐藤 貴之 北九州市立大学, 基盤教育センター, 准教授 (90310979)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | シリアスゲーム / ユーザビリティ / 学習支援 / 教育工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は,まず,昨年度実施した従来の作曲学習システムのユーザビリティ調査の結果をまとめた.そこでわかったことは,音楽を授業以外で学んでいる児童と学んでいない児童の間で本システムを操作する際のメンタルモデルが異なっていることである.しかし,音楽を学んでいない児童でも,試行錯誤するうちにシステムを短時間で自分の思い通り操作できることがわかった.その一方で,従来のシステムでは,自分ひとりで学びながら作曲の基礎を身に付けることが難しく,これまで行われてきた小学校での授業実践や誰か作曲方法を知っている大人と一緒に操作する場が必要であることがわかった. これらのことを踏まえて,作曲学習ゲームの基本設計に着手した.児童同士の学び合いを活発化するために,それぞれの児童が自分の「おみせ」を持ち,曲の売買を通じてコインを流通させること,作曲の評価ではネガティブなコメントをしない仕掛けを搭載すること,コインがたまることで作曲で利用できる機能を増やすこと(アンロック)など,これまでのゲーム研究の知見を活用する形とした.そして,この基本設計をまとめ,デジタルゲーム学会で発表した.さらに,このコインを流通させるため最初にコインを与える仕組みとして,チュートリアルの開発をすることとした.チュートリアルの位置付けとしては,作曲学習ゲームの入口というだけではなく,小学校での授業実践で活用できる内容にすることとした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
やや遅れている原因は,ゲーム開発そのものの難しさが大きい.ゲームの基本設計,および,画面設計が完了しているものの,児童が作曲をするための仕組みを検討する時間が予想以上にかかってしまっている.また,開発に関しても,現時点での実装は作曲の基本的機能の範囲にとどまっている.その理由として,本教材は,ゲームとして開発するため,アニメーションやグラフィックなどにも力を入れる必要があり,ゲームプログラミング以外の工数が事前の想定より膨らんでしまっていることが挙げられる. 本研究では,チュートリアルを学校の授業教材として活用すること,作曲ゲームの入口になる仕組みにすることで開発を進めており,小学校で実際に行われている音楽教育について,さらに深く調査するための時間がかかっていることも影響している.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の段階では,共同研究を進めている仙台高専の学生が開発の一部を担当していたが,担当者の変更を検討する必要がある.アニメーションやグラフィックに関する部分やゲームエンジンは,外部の業者への委託の可能性も挙げられる. これまでの研究結果から,チュートリアルの開発が最優先であることがわかってきたので,まずは,チュートリアルの開発に焦点をあてて開発を進める.
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Causes of Carryover |
今年度は,ゲームの基本設計が中心であり,ゲーム教材の本格的な開発に着手することができなかった.そのため,開発するために準備していた費用がそのまま残る形となった.また,ゲーム特有のグラフィック,アニメーションを制作できなかったことも大きな理由である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に,ゲーム開発を本格的に着手する予定である.そのため,多くの費用がかかることが想定される.前にも述べた通り,開発を外部に委託することも検討している.そのため,今年度は,昨年度までの基金を活用し,ゲーム開発に関する費用に充てる方向で進めていく.
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Research Products
(4 results)