2015 Fiscal Year Annual Research Report
中等度から高度に移行する認知症高齢者の生活世界に対する看護ケアの検討
Project/Area Number |
25870647
|
Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
宮地 普子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 准教授 (60364303)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 認知症高齢者 / 生活世界 / 状態像 / 意味 |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症治療病棟に入院中で中等度の認知機能障害を抱える患者に対し、参加観察による質的記述的研究を実施した。データは次の3つの方法から得た。①対象者の背景,調査前および調査中の看護記録,②2週間に1回程度の参加観察による言語・非言語的データ,③参加観察と同時に生活機能面の客観的評価。調査期間は前年度2013年11月より引き続き実施し、新たに2015年2月まで3名の対象者のデータを収集した。 対象者は合計6名であり、疾患はアルツハイマー型認知症4名、前頭側頭型認知症1名、血管性認知症1名であった。各対象者の調査回数は4~14回、得られた場面のデータは5~32場面であった。 各対象者の分析は、まず得られたデータの逐語録を作成して①~③の全データを照合した。次に各事例の特徴的行動および身体状況,認知的特徴、コミュニケーションの変化に注目して整理し、その状態像の変化の経過を捉えた。 その結果、認知症高齢者は見当識障害や言語機能の低下に伴い周囲への不安と不快感情が生じていた。周囲への不安と対峙しており、不安を対処する方法としてコミュニケーションを図っている可能性が考えられた。調査対象者6名のうち3名は病棟内を徘徊する様子が観察された。また、周囲に物事を確認する言動には、自己批判の感情を含んでいる可能性のあった者もおり、他者交流が減少していく経過の中でみられた収集的行動は、自己を補完する意味や、楽しみであること等が解釈できた。 本研究は、各認知症疾患のタイプに応じた分析ではないが、今後は疾患別の特徴を踏まえて分析する必要がある。
|
Research Products
(1 results)