2014 Fiscal Year Research-status Report
介護老人福祉施設の生活相談員による入居者家族への支援に関する実証的研究
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25870651
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
畑 亮輔 北星学園大学, 社会福祉学部, 講師 (60632528)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 介護老人福祉施設 / 生活相談員 / 入居者家族支援 / テキストマイニング |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度においては、A県内の介護老人福祉施設を対象に自記式郵送調査を実施した。調査対象は、WEB上の介護事業所検索において、2015年2月時点で登録されている全312施設を対象とし、各施設における回答者は、調査実施時点において現業の生活相談員のうち最も歴が長い者とした。調査時期は2015年2月~3月である。 分析では、まず生活相談員による入居者家族への支援・関わりの自由記述回答に対して、テキストマイニングにより形態素解析(分かち書き)を行った。そして、言語学的手法を用いた上で、分析者による編集を行い、カテゴリを作成した。さらに、抽出されたカテゴリ間の関係性を検討するために、コレスポンデンス分析を実施した。なお、分析にはそれぞれIBM SPSS Text Analytics for Surveys 4及びSPSS Statistics 22を用いた。 調査の結果、回収率は34.6%(N=108)であった。回答者の基本属性として、性別が男性72名/女性36名、平均年齢40.4歳、そして生活相談員の平均経験年数6.8年だった。また、施設の基本属性は、ユニット型31施設、従来型69施設、併設型8施設、平均入所定員76.7人、そして平均要介護度が3.7であった。生活相談員による入居者家族への支援・関わりの自由記述回答に対してテキストマイニングによる形態素解析を実施した結果、出現頻度が高かったコンセプトは、「家族(69)」、「説明(31)」、「報告(30)」、「入居者(30)」、「施設(30)」、「相談(30)」等であった。 また、調査票には今後のインタビュー調査の協力の可否についても質問項目を設定したところ、50を超える施設より協力可との回答を得た。今後は、アンケート調査の分析を進め、インタビュー調査を実施し、生活相談員による入居者家族支援について広範な体系化を目指す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2年目にはインタビュー調査を実施する予定であったが、プレ調査(聞き取り)を実施している際に各施設によって入居者家族支援の実施状況に大きなばらつきがあり、また実施していることも多岐にわたるため、このままでは効果的なインタビューを実施することは難しいという判断を行った。そこで、インタビュー実施前に探索的なアンケート調査を実施することとし、その記述内容より包括的に入居者家族支援についてデータを得るとともに、積極的に入居者家族支援に取り組んでいる施設を抽出し、インタビュー調査を実施することとした。結果的に、2年目に予定していたインタビュー調査の実施は3年目に行うこととしたため、若干の遅れが生じているといえる。ただし、従来予定していなかった自由記述形式のアンケート調査により、生活相談員による入居者家族支援について広範なデータを収集できたことは大きな成果と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、このアンケート調査の分析をさらに深めていき、介護老人福祉施設の生活相談員による入居者家族支援について仮説モデルを構築する。また、合わせてインタビュー調査も実施することにより、この仮説モデルの妥当性も確保しつつ研究を進めていく予定である。 最終的には、これらの仮説モデルについて検証的な分析を実施するための調査を予定している。
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Causes of Carryover |
実施状況等に記載したとおり、従来予定していたインタビュー調査を実施することができなかったため、旅費や謝礼金、テープ起こし等の支出が行われなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度に実施したアンケート調査によって適切なインタビュー対象者を抽出することができたため、今年度においてはこれらの施設に対してインタビュー調査を実施する予定にしており、そこでの旅費交通費、謝礼金、そしてテープ起こし代等にこれらの予算を使用する予定にしている。
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