2015 Fiscal Year Annual Research Report
第四紀埋没火山灰を用いた数千年規模の土壌炭素蓄積機構の解明
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25870653
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
保原 達 酪農学園大学, 農食環境学群, 准教授 (70391159)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 火山灰 / 炭素蓄積 / 土壌有機物 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、新たに新鮮火山灰土壌への有機物添加実験を行って、火山灰における炭素蓄積メカニズムを具体的に調べた。新鮮火山灰は、鹿児島県桜島において採取・空輸し、篩がけ・水洗・乾燥させて実験に使用した。これに、構造の単純な有機物であるグルコース、または異なる植物種である落葉広葉樹と針葉樹の粉砕した葉を添加して室内培養し、その後の化学性の変化の違いを調べた。その結果、樹種の違いによらず、生成されるアミノ酸の構成が分解とともに類似してくる傾向が見られ、分解される有機物に寄らない分解産物の生成が示され、またこれら分解産物の生化学的特徴は長期蓄積した土壌有機物のそれとも一致した。火山灰土壌は、一般の森林土に比べ表面積が大きく活性が高いという特性がある。そこで、火山灰以外の土壌と比較して、その特性を明らかにするため、上記のグルコース添加実験について、火山灰土壌以外にも日本の耕地土壌や森林土壌にも同様の添加をして比較した。その結果、土壌の炭素吸着をもたらす非晶質のアルミニウムおよび鉄の水酸化物鉱物が、土壌で分解された有機物の残存量に大きく影響を与えることが明らかとなった。これらの研究結果は、土壌有機物が長期に隔離される上で、微生物体がその生成物の質の収斂に大きく寄与していること、そしてその残存が土壌の吸着によって左右されることを新たに示した。特に、土壌有機物の長期隔離における植物体由来物質の質に対する注目は大きいが、微生物体由来物質への注目は比較的少ない。本研究は、そうした長期隔離炭素における微生物体の質的重要性を捉え直すと共に、吸着をはじめとする地化学性がそうした有機物の土壌への隔離の要となっていることを示すものであり、地球規模の炭素循環に及ぼす影響の大きい土壌の炭素隔離を明らかにする上で重要である。こうした研究の結果は、論文や学会発表など、様々な場で公表した。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Relationships among pH, minerals, and carbon in soils from tundra to boreal forest across2016
Author(s)
Hobara, S., Kushida, K., Kim, Y.W., Koba, K., Lee, B.Y., Ae, N.
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Journal Title
Ecosystems
Volume: 19
Pages: 印刷中
Peer Reviewed
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