2015 Fiscal Year Annual Research Report
線溶機能を搭載した経気道投与型DDSを基盤とする肺線維症治療の新発想
Project/Area Number |
25870654
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Research Institution | Hokkaido Pharmaceutical University School of Pharmacy |
Principal Investigator |
丁野 純男 北海道薬科大学, 薬学部, 教授 (90347790)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 肺線維症 / bFGF修飾リポソーム / 肺線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】肺線維症は、肺線維芽細胞が産生する細胞外マトリックスの蓄積により不可逆性の蜂巣肺を形成する予後不良の難治性疾患であり、優れた治療法の開発が望まれている。有効性の高い肺線維症治療法を開発するためには、抗線維化作用を有する薬物を肺線維芽細胞内へ送達できるDDSを構築する必要がある。本研究では、肺線維芽細胞上の basic fibroblast growth factor(bFGF)受容体に親和性を有するbFGF修飾リポソームを調製し、その標的指向性をin vitroで検討した。 【方法】1. bFGF修飾リポソームの調製: リポソームは、EPC:CH:DSPE-PEG: DSPE-PEG-NHS:NBD-DPPE = 2.5:1:0.08:0.02:0.5(モル比)の脂質組成とし、薄膜水和法により調製した。調製したリポソームに bFGF を混合し、4°Cで24 時間静置することでbFGF修飾リポソームを調製した。2. 細胞内取り込み実験:培養ヒト肺線維芽細胞(WI-38)にbFGF修飾リポソーム(9.3 nmol lipid/cm2)を適用し、37°Cで 1時間培養した。培養後、2 M NaClで細胞を溶解した。細胞溶解中のNBDを定量することにより、細胞内リポソーム取り込み量(nmol lipid/mg cell DNA)を算出した。また、共焦点レーザー顕微鏡を用いてbFGF修飾リポソームの細胞内挙動を評価した。 【結果および考察】bFGF修飾リポソームのWI-38細胞内取り込み量は、未修飾リポソームより高い値で推移し、適用 1 時間後に最大となった。また、bFGF修飾リポソームは、細胞内に広く分布し、未修飾リポソームに比べ、取り込み数が多いことが観察された。以上の結果より、bFGF修飾リポソームを用いることで、肺線維芽細胞へ抗線維化薬を効率的に送達可能な肺線維症治療を指向した新規DDSの開発が期待できる。
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Research Products
(6 results)