2015 Fiscal Year Annual Research Report
貧困撲滅に関するビジネスアプローチの明暗境界線の研究
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25870657
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Research Institution | Aomori Chuo Gakuin University |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 経営学的アプローチによる貧困削減研究 / 純粋かつ効果的な貧困削減アプローチ / 貧困ビジネス / 明暗境界線 / 形成要因 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度において、平成26年度に構築できた社会的課題の当事者の個人的満足と社会的満足に関する分析の枠組みを新しい事例(発展途上国支援事業、社会的弱者の自立事業組織や復興支援ビジネス)に転換して、その適用範囲を更に明らかにすることができた。その結果、本研究は、貧困撲滅を前提にビジネスを営んでいくという純粋な貧困撲滅アプローチ(明)を、単に利潤極大化や市場開拓を目的に貧困層をターゲットとするビジネス(暗)と区別する要因に関しては、次のような結論を導出することができた。個人的満足と社会的満足の達成を目指す事業、社会的弱者が自発的に社会的課題の解決に取り組む事業は「明」、個人的満足の追求ができるが、社会的満足の達成ができない事業及び社会的弱者の個人レベルの満足及び社会的満足に反した事業は「暗」に分類される。社会的課題の問題を解決できる方向(社会的満足)で利潤追求をしていくのは条件付き(グレーゾーン)の「明」として定義される。そういう意味で、最初に本研究が仮説として立てた境界は線ではなくゾーン(領域)として捉えなおすことができる。そして、研究成果を実践経営学会東北支部会での報告と青森中央学院大学研究紀要での掲載論文にて公表を行った。 社会的課題を定義した利害関係者の満足を具体的にいかに達成できるのかという論点、また、社会的満足が社会的課題を捉える貧困ビジネスの発生を防止し、純粋かつ効果的な貧困削減アプローチに方向付ける機能、メカニズムに関する動学的考察が今後の研究課題である。
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