2016 Fiscal Year Research-status Report
あらゆる「差異」を包摂する共生社会の実現に向けて:多様性受容社会カナダの検証
Project/Area Number |
25870664
|
Research Institution | Ryutsu Keizai University |
Principal Investigator |
下司 優里 流通経済大学, 社会学部, 准教授 (40615738)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | カナダ・オンタリオ / 知的障害 / インクルージョン / 共生社会 / 補助学級 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、多様性の受容について今日、世界的に高い評価を得ているカナダが、「人間の『差異』をどう扱うか」というインクルーシブ社会で最大のタスクを、社会不適応の典型である知的障害に対してどのように達成しようとしてきたのかを解明することを目的としている。平成27年9月から1年間の研究中断を経て、平成28年度は9月1日から研究活動を再開し、次の研究作業を行った。 ①本研究の分析課題に基づき、カナダの知的障害関係の史資料を入手・整理した。 ②学会をはじめ研究集会への参加、および電子メールでの意見交換を通じて、カナダおよび日本の障害者福祉史研究者と本研究に関する研究討議を行った。 本来の研究実施最終年度である平成28年度に予定していた作業のうち、2つの作業が未実施のまま残されている。具体的な作業は以下の通りである。 ①研究考察と妥当性の検討:史資料の分析を通して、20世紀前半のカナダにおいて、知的障害者に対してどのような問題意識があり、いかなる目的と方法においてこの問題に対処しようとしたのか、さらにアメリカ合衆国とイギリスの状況がカナダの知的障害者施策の成立と展開にどのような影響を与えたのかについて考察を深める。考察の妥当性については、日本およびカナダの当該研究分野研究者とのディスカッションを通して検討する。 ②研究成果の発表:国内学会における発表、および英文誌への投稿を通して、本研究成果の発信を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成27年9月から平成28年8月まで産前産後休暇及び育児休業を取得し、平成29年9月1日に研究活動を再開したものの、子の養育にあたるために、当初の想定以上に研究の遂行に遅れが出た。また、研究発表予定であった国際学会が研究中断期間中に開催されたため、参加・発表ができないという事態が発生した。 そこで、当初の研究目標を着実に達成するとともに成果の発表を確実に行うため、研究期間(補助事業期間)の延長を申請し、承認されている。この延長により、当初の研究計画とその内容に大幅な変更はない。
|
Strategy for Future Research Activity |
新たな研究実施最終年度となる平成29年度は、前年度までに収集した資料の読解、分析および考察を進め、研究成果の発表を行う。 具体的な作業は以下の通りである。 ①研究考察と妥当性の検討:史資料の分析を通して、20世紀前半のカナダにおいて、知的障害者に対してどのような問題意識があり、いかなる目的と方法においてこの問題に対処しようとしたのか、さらに、アメリカ合衆国とイギリスの状況がカナダの知的障害者施策の成立と展開にどのような影響を与えたのかについて考察を深める。考察の妥当性については、日本およびカナダの当該研究分野研究者とのディスカッションを通して検討する。 ②研究成果の発表:国内学会における発表、および英文誌への投稿を通して、本研究成果の発信を行う。
|
Causes of Carryover |
1年間の研究中断を経て平成29年9月1日に研究活動を再開したものの、子の養育にあたるために、当初の想定以上に研究の遂行に遅れが出た。また、研究発表予定であった国際学会が研究中断期間中に開催されたため、参加・発表ができないという事態が発生した。年度内に行った研究活動として①史資料の収集があったが、インターネット上で電子化されている資料の閲覧が主であり、補助金の使用額が生じなかった。さらに、年度内に②学会・研究集会における本研究の研究討議を行ったが、その際の参加費・旅費は所属研究機関の個人研究費から支出したため、こちらも補助金の使用額が生じなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用予定額の内訳は次の通り。カナダにおける資料収集旅費46万円、研究資料等物品費9万円、その他郵送費・学会発表費4万円、合計59万円。
|