2013 Fiscal Year Research-status Report
唾液腺・膵外分泌腺におけるMARCKSリン酸化を共通とした開口分泌機構の解明
Project/Area Number |
25870667
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 慶太郎 獨協医科大学, 医学部, 助教 (10549041)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | MARCKS / 唾液腺 / 膵臓 / 外分泌 / 開口放出 / PKC / 腺房細胞 / アミラーゼ |
Research Abstract |
外分泌腺開口分泌機構の解明を目指して、唾液腺および膵外分泌腺アミラーゼ分泌におけるMyristoylated alanine-rich C kinase substrate (MARCKS) のリン酸化の関与について検討した。ラット耳下腺腺房細胞および膵外分泌腺腺房細胞を用いた実験により以下の内容を両腺房細胞に共通して起こる現象として得た。a) 分泌刺激剤であるイソプロテレノールまたはコレシストキニンを耳下腺腺房細胞または膵外分泌腺腺房細胞にそれぞれ作用させると、MARCKSはリン酸化し、リン酸化したMARCKSは細胞内局在が細胞膜から細胞質へと変化した。b) PKC阻害剤であるビスインドリルマレイミドを作用させると、分泌刺激剤によるMARCKSのリン酸化が抑制された。c) MARCKSの細胞内局在変化を阻害するMANSペプチドを作用させると、分泌刺激剤によるアミラーゼ分泌が抑制された。d) PKCδ阻害剤であるロテレリンを作用させると、分泌刺激剤によるMARCKSのリン酸化およびアミラーゼ分泌が抑制された。e) 分泌刺激剤を作用させると、PKCδが活性化した。f) MANSペプチドを作用させても、PKCδの活性化に影響しなかった。これらの結果、PKCδによるMARCKSのリン酸化とそれに続く細胞内局在変化が、耳下腺アミラーゼ分泌においても膵外分泌腺アミラーゼ分泌においても、制御機構として働いていることが明らかになった。MARCKSをリン酸化させるPKCのアイソザイムまでもが共通していることは非常に興味深い。次年度は、MARCKSリン酸化と局在変化の開口分泌における役割の解明に進むが、MARCKSとPKCδの両者が共通の制御機構であることより、脂質ラフトの機能調節の可能性から探る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MARCKSリン酸化のアミラーゼ分泌への関与が耳下腺腺房細胞および膵外分泌腺腺房細胞に共通したものである、という本研究の主要点を明らかにした。また、興味深いことにMARCKSをリン酸化させるPKCのアイソザイムが共通していることを見出した。この成果は今後の研究展開に重要な現象であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
MARCKSはN末端がミリスチル化しており、ミリスチル化タンパク質は脂質ラフトへ輸送されることが示唆されていること、またPKCが脂質ラフトを足場として基質をリン酸化する報告があること、PKCδによるMARCKSリン酸化が両腺房細胞アミラーゼ分泌の共通機構であることから、まず耳下腺および膵外分泌腺腺房細胞の脂質ラフトにMARCKSが存在するか検討し、MARCKSが脂質ラフト機能調節を担っている可能性を探る。その後、細胞骨格の再構成や分泌顆粒の細胞内輸送への関与についても検討し、唾液腺および膵外分泌腺アミラーゼ開口分泌の細胞内シグナルにおけるMARCKSの役割について明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
MARCKSをリン酸化させるPKCを検索する上で、耳下腺および膵外分泌腺腺房細胞で同じアイソフォームのPKCδを早い段階で同定できたことにより、使用する動物数を大幅に減らすことができた。また、各アイソフォームに対応する抗体や阻害剤等の物品費を減らすことができた。そのため、次年度使用額が生じた。 実験動物より採取した試料を用いて直ちに実験を行うため、試料を一度に多く確保することは難しい。よって実験動物のラットは100頭購入する (100頭x2,500円)。EDペプチドとMANSペプチドのタンパク合成を委託する (2種類x250,000円)。超遠心機用のチューブを購入する (150,000円)。HRP-conjugated CTBを購入する (140,000円)。免疫沈降キットを購入する (60,000円)。免疫組織化学用の消耗品、ピペットやチューブ等のプラスチック器具を購入する (190,000円)。旅費はInternational Association for Dental Research (2014年6月、南アフリカ) と国内学会へ参加するために計上している (430,000円)。
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