2013 Fiscal Year Research-status Report
細胞内リン脂質輸送の制御機構とミトコンドリア機能との関連性
Project/Area Number |
25870668
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
堀端 康博 獨協医科大学, 医学部, 助教 (80392116)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リン脂質 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
ミトコンドリアはリン脂質を主成分とする膜構造によってコンパートメント化されている。外膜の主要なリン脂質はホスファチジルコリン(PC)である。ところがミトコンドリア自身は、PCを生合成することができず、小胞体などのオルガネラからPCの供給を受けていると考えられている。しかし現在までその詳細な分子機構は明らかにされていなかった。申請者はミトコンドリアへPCを輸送する可溶性タンパク質StarD7 を見いだした。本研究の目的は、StarD7による細胞内リン脂質輸送が、ミトコンドリア機能にどのような役割を果たしているかについて検証することである。 これまで、Hepa-1細胞においてStarD7の発現をsiRNAを用いて一過的に抑制すると、クリステ構造が著しく減少することを見いだしていた。この結果をさらに検証するために、本年度はStarD7の発現が安定的に減少した細胞株を樹立することにした。StarD7の発現を抑制するshRNAベクターを作成し、HEK293細胞にトランスフェクト後、G418に耐性を示す細胞をクローニングした。得られた複数のクローンについて、ミトコンドリアのintegrity等をウエスタンブロットで評価した。今回はミトコンドリア複合体(I~V)、Porin、Cyclophilin D、Cytochrome c、Mfn1、TOM、PGC1について調べたところ、StarD7がノックダウンされた細胞では、コントロールと比べて複合体IVが大幅に減少していることがわかった。今後は、ミトコンドリアの形態、エネルギー生産、形態変化、について調べるとともに、ミトコンドリアのリン脂質恒常性にどのような変化があるかについても検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の鍵となるのは、StarD7の発現が安定的に低下した細胞株クローンの樹立である。平成25年度は、HEK293細胞において上記クローンを得ることが出来、さらにノックダウンによって複合体IVの発現が低下することも見いだすことが出来つつあるので、概ね成果が得られていると言える。ただし、この現象についての説明は現時点ではまったく出来ていないので、今後さらにミトコンドリアの変化について解析を進め、取り組んで行きたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は4月から米国(UCLA)へ留学するために本研究は1年間完全に止まってしまう。そこで、平成27年度も延長して研究を続ける予定である。 平成25年度において、StarD7が安定的にノックダウンされたHEK293のクローンを得ているので、今後はこの細胞を用いて電子顕微鏡によるミトコンドリアの形態観察、ATP生産活性の生化学的解析等を行う。さらに大量培養後、純粋なミトコンドリアを回収してその脂質組成を網羅的に調べ、ミトコンドリアのリン脂質恒常性にどのような変化があるかについても調べたい。これらの実験結果により、複合体IVの発現あるいは安定性がなぜ低下するのかの説明も可能になると期待される。また、細胞普遍性についても検討するため、HeLa細胞などの他の細胞株についても同様に発現が安定的に低下したクローンを樹立し、調べたい。さらに、StarD7 の細胞内局在を制御するシグナルの解明についても取りかかりたいと思う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主な要因は、購入予定だった抗体を他の研究者から融通してもらったために、使用額が見込額よりも下回った。また、キャンペーンなどにより試薬を安価に購入できた。そのため、275,161円の次年度使用額が生じた。 次年度使用額については、細胞培養用の試薬、抗体、遺伝子解析試薬等の消耗品など全て物品費として使用する。
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Research Products
(3 results)