2013 Fiscal Year Research-status Report
サプライチェーンを通じた環境負荷削減行動に関する実証分析
Project/Area Number |
25870671
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Atomi University |
Principal Investigator |
井口 衡 跡見学園女子大学, マネジメント学部, 助教 (60633906)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | サプライチェーン / 企業の自主的環境取組み / GSCM |
Research Abstract |
近年、CSR活動の一環としてグリーンサプライチェーンマネジメント(Green Supply Chain Management: GSCM)と呼ばれるサプライチェーン全体を通じた環境負荷の削減行動に大きな関心が集まるようになってきた。本研究は、日本企業における①GSCMを促進する要因、②GSCMの取組みがその対象となる企業に与える効果について定量的な分析を行い、GSCMのスピルオーバー効果について検証することを目的としている。 本年度は、まず、大手印刷業企業、物流サービス業企業、大手製造業企業の環境部門担当者にインタビュー調査を行った。その結果、サプライチェーンでのGHG 排出量を把握しようという企業は、自らのサプライチェーン全体を自社で把握するという方法よりも、サプライヤー間の情報開示要求の連鎖を通じて把握するという方法を選択している可能性が示された。また、排出量把握を行うにあたり、ライフサイクル・アセスメントへの取組みやマテリアルフローの把握といった類似する環境取組みの経験が効果を持つ可能性が明らかになった。 また、分析の際に必要となる、上場企業の取引先企業データを購入し、データベースの作成を行った。サプライチェーンにおける環境取り組みにおいては、サプライチェーンの構造や力関係が影響を与えると考えられるため、対象企業の取引先の企業規模や寡占の度合いなどについて検討した。 現時点での分析内容に関しては、2013年9月の環境経済政策学会、および2014年3月にアリゾナ州立大学で開催されたリサーチ・ワークショップで報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要でも述べたように、インタビュー調査、データベースの構築等、順調に進展しているが、途中段階の研究成果の研究雑誌への投稿が進んでいないため、本年度の全体的な進捗はやや遅れていると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、前年度に構築したデータベースに基づいた分析作業および論文執筆が主要な作業となる。まず、サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量把握に関しては、対象企業がカーボンディスクロージャープロジェクト(Carbon Disclosure Project: CDP)の対象となっているかという点が大きく影響を与える可能性がある。平成26年度は、CDPレポートをもとに、分析対象企業がCDP対象企業であるかという点や、CDPへの回答回数を、前年度構築したデータベースに追加する。また分析を行う際、CDPの対象となっているかどうかを表す変数がもつ内生性を解消することが可能な操作変数も同時に検討する。以上のデータをもとに、GSCMを促進する要因、GSCMの取組みがその対象となる企業に与える効果について定量的な分析を行い、GSCMのスピルオーバー効果について明らかにする。分析終了後、論文の執筆にとりかかり、年度内に英文研究雑誌に投稿することを目標とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究補助が必要とされる作業量が想定より少なかったため、人件費の使用が当初計画より減少した。 平成26年度は、前年度に引き続きデータベースの構築を行う必要があるため、前年度繰り越分についてはまず人件費に充てる予定である。また、研究成果の発表のための旅費としても計画的に使用する予定である。
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