2016 Fiscal Year Annual Research Report
Treatment strategy for hypoxic-ischemic encephalopathy by regulation of prostaglandins bioactivities
Project/Area Number |
25870677
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
吉川 圭介 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (10435860)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 興奮毒性 / プロスタグランジン / 神経細胞死 |
Outline of Annual Research Achievements |
低酸素性虚血性脳症(HIE:Hypoxic-ischemic encephalophaty)は脳内グルタミン酸濃度上昇による興奮毒性誘発神経細胞死により引き起こされる脳障害であり、新生児死亡、脳性麻痺、発達障害の原因となり、これらに有効な治療戦略を開発し小児・新生児を救うことは我々の社会的に重要な使命である。プロスタグランジン(PG)類が興奮毒性により脳内で産生が増加することが知られている。これまでに我々はグルタミン酸アゴニストで興奮毒性を引き起こすカイニン酸(KA)投与後のラット海馬においてシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)依存的なPG産生(特にPGD2・PGE2およびPGFalpha産生が主要)が起こることを報告した。さらにそれら全種類のPG産生の阻害が、KA投与30日後の海馬における遅発性神経細胞死、それに伴う海馬萎縮を抑制することを示した。本研究は、興奮毒性誘発遅発性神経細胞死における個々のPGの生理活性を調べるために、KA投与より先にCOX-2選択的阻害剤であるNS398を前処置することにより海馬PG産生が完全に阻害されたラットに、PGD2・PGE2およびPGF2alphaを脳室内投与し病態を評価した。PGD2およびPGF2alphaの投与はKA処置後30日間持続する遅発性神経細胞死に寄与した。さらに、PGD2は海馬における遅発性神経細胞死に関与するミクログリア活性化を増強した。これらの知見は、興奮毒性による遅発性神経細胞死はPGD2によって活性化されたミクログリアを介することを示した。HIEをはじめとした興奮毒性を介した神経細胞死に対して、PGD2とPGF2alphaの産生抑制が特に神経細胞死の抑制に有効であることが示された。
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