2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25870686
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
永井 崇 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (40533633)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 白金族金属 / リサイクル / ペロブスカイト型酸化物 |
Research Abstract |
白金族金属(PGM)の白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)は、それぞれ需要の約40,60,80%が自動車の排ガス浄化触媒として利用されている。排ガス規制の強化および新興国における需要増加のため、今後、Pt, Pd, Rhの需要はますます増加していくことが予想され、安定供給のためには使用済み製品からのリサイクルは極めて重要である。使用済み自動車排ガス浄化触媒からの従来のPGM回収方法では、様々な方法でPGMを濃縮するが、PGMを元素ごとに分離することはできない。このため、別途、湿式工程を用いて元素ごとに分離する必要がある。PGMは化学的に安定で酸などに溶解することは容易ではなく強力な酸化剤や有害な錯化剤を利用するため環境負荷が大きくなっている。 本研究では、ペロブスカイト型酸化物のPGM酸化物の吸蔵特性を利用して、PGM濃縮と同時にPGMを元素ごとに分離する手法を開発することを目的とした。平成25年度は、様々なペロブスカイト型酸化物の白金酸化物およびパラジウム酸化物の吸蔵特性について調査した。 1473-1873 Kに加熱した電気炉内で、約20種類のペロブスカイト型酸化物を白金るつぼ内またはパラジウム板上において大気雰囲気下で焼成し、各ペロブスカイト型酸化物の白金酸化物およびパラジウム酸化物を吸蔵させた。焼成後の試料について粉末X線回折により生成相の同定を行い、また、試料の一部を酸溶解し、誘導結合プラズマ発光分光分析により、白金酸化物およびパラジウム酸化物の吸蔵量を定量した。 白金酸化物を吸蔵するペロブスカイト型酸化物について、吸蔵量の温度依存性、組成依存性、第3元素の添加による白金酸化物の吸蔵量に対する影響を調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
約20種類のペロブスカイト型酸化物の白金酸化物およびパラジウム酸化物の吸蔵特性について調査し、各酸化物の吸蔵特性の傾向を明らかにした。また、吸蔵特性の温度依存性、組成依存性などを調査することによって、ペロブスカイト型酸化物の白金族金属酸化物吸蔵のメカニズムを推察した。また、白金族金属酸化物の吸蔵量を増加させるため、特定の第3元素を添加することが有効であることが実験により示された。以上より、研究が概ね当初の計画通りに実施されていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
白金酸化物およびパラジウム酸化物の場合と同様に、ロジウム酸化物についてもそのペロブスカイト型酸化物への吸蔵特性について調査する。また、白金酸化物、パラジウム酸化物およびロジウム酸化物のみを吸蔵するペロブスカイト型酸化物を特定し、白金族金属を元素ごとに分離する方法について調査する。また、白金族金属を付加価値の高い状態で回収する手法の開発にむけ研究を推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入予定の試薬類の一部が在庫切れで、別のメーカーより手配したため。 化学分析用資材の購入などの消耗品費として使用する。
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