2013 Fiscal Year Research-status Report
Effects of Self-Compassion and Its Relationship with Depression
Project/Area Number |
25870688
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
山口 綾乃 麗澤大学, 外国語学部, 講師 (40592548)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 健康心理学 / ポジティブ心理学 / 健康 / 生きがい / 健康行動 / 健康(ヘルス)コミュニケーション / 自殺傾向 / うつ傾向 |
Research Abstract |
山口とキムが2012年から2014年度の若手研究Bで行った2つの主要研究についての研究結果、考察、発展をここに説明する。 第1研究として、本稿は、①多文化の視点からみた自己批判、自己慈悲度とうつ傾向に関する経緯と現状、②問題の概要を紹介し、③多様性のある自己批判とうつ傾向の役割について述べることを目的とする。本稿は、文化的自己観というものを使い、日米の大学生の自己批判や自己慈悲度がうつ傾向にどのように影響しているのかを検証した。統計解析の結果、独立的自己観のレベルが高い日米の学生は、比較的自分自身を批判する傾向があり、慈悲度も低い場合は、周りと常に自分を比べ批判し、うつ傾向が高くなるということが分かった。しかしながら、他者依存的レベルの高い日本の大学生は、自分自身を批判する傾向があり、慈悲度も低い場合は、うつ傾向が高くなるということが分かった。本稿の結論として、文化的自己観が自己批判と自己慈悲度に影響があるということを指摘した。 第2研究として、本稿は、①自己批判、自己慈悲度とうつ傾向に関する経緯と現状、②問題の概要を紹介し、③多様性のある自己批判、自己慈悲度とうつ傾向の役割について述べることを目的とする。本稿は、日本の大学生の自己批判や自己慈悲度がうつ傾向にどのように影響しているのかについて検証した。統計解析の結果、慈悲度が高い学生は、うつ傾向が低くなることが分かった。さらに、比較的自分自身をまわりと批判する傾向が高い学生は、うつ傾向が高くなるということが分かった。本稿の結論として、日本人大学生におけるうつ傾向に関しての重要な役割としての自己慈悲度と自己批判を発見した。多様性のある自己批判と自己慈悲度について、社会心理学、コミュニケーションの立場から取り組む一助となれば幸いである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的を達成するために、(1)過去の研究結果や理論研究をレビューし、特に新しい考え方である自己慈悲度と自己批判について詳しく調べ、定義づける。(2)質問紙調査を行い定量調査における情報を収集し、パス解析や共分散構造分析を使って理論モデルを解明し、人の心の状態を推定する理論モデルを解明すること (3)自殺傾向が強い状態の人などを回復へと向かわせるために、適切な外的刺激(アドバイス等)や社会政策、あるいはカウンセリング、学校教育、さらには地域社会に貢献する方法を提言することなどを行う。 ①理論的な定義、学問とする方法論の研究: 心理学関連分野(健康心理学、ポジティブ心理学、健康(ヘルス)コミュニケーションなど)や医学の分野でいわれている自己慈悲や心の豊かさ、自己批判、自殺傾向、あるいはうつ傾向について調査し、それらをもとに心の豊かさや自殺傾向、あるいはうつ傾向を定義し、研究の体系案を作成する。 ②人の心の状態を推定する理論モデルを独自に構築:様々な状況下に置かれた時の人の心の動き、自己慈悲度や自己批判などの理論をモデル化する。いろいろな状況での感情や心の変化について実際にアンケート等を用いて計測し、それらの情報を統計的に処理することでモデル化を行う。 ③定量調査を行うにあたり質問紙調査票の作成と調査におけるHuman Subjectsの許可取得: 定量調査を行う前に、質問紙調査の作成、ならびに米国の大学において調査を行う前に倫理委員会の許可を得る手続きを踏む。米国の大学に申請する書類はすべて英語で行われ、適切な日英訳を行い、書類を作成する。 ④定量調査のデータ収集と統計モデル作成:倫理委員会の許可を得た段階で、定量調査のデータ収集と統計モデルを作成する。定量調査で収集したデータはSPSSに入力され、基礎的な統計解析を行う。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度得られた知見をさらに発展させ、研究目的の達成を目指して以下のように研究を進める。 ①自己慈悲度という新しい考え方を入れた自己批判モデル、自殺傾向やうつ傾向、個人の社会文化的な要因の関係の解析:昨年度得られた解析結果をもとに独自に提案されたモデルを適宜修正し、統計解析結果から自己批判、自己慈悲、自殺傾向とうつ傾向に関する新しいモデルを確立する。 ②質的テキスト情報による心の豊かさの計測方法の確立: 定量調査の結果を踏まえて、さらに、self-talkをもとにした質的テキスト情報に関する定性調査を行う。これらのデータ収集をもとに、内容分析を行い、自己批判、自己慈悲などを取り入れた新しいモデルを確立する。 ③学問体系の確立:自己批判、自己慈悲度をもとにした新しいモデルを構築して、そのモデルをもとに論文を作成し、国内、海外の学会や様々な形で論文を発表し、さらに、国内、海外の学術誌に投稿する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の進捗状況が思ったよりも早く進んでいて、研究業績として論文を国際学会や国際ジャーナルに論文投稿するためである。海外での研究会に参加する機会などが増えたし、アメリカの大学院教授を日本に招聘するためである。さらに、くりこし申請をした分が残っているためでもある。 研究業績としての国際学会への参加や国際ジャーナルに論文を投稿するため、海外での研究会に参加するための参加費用やアメリカの大学院教授を日本に招聘したりするための費用などにあてるためである。
|
Research Products
(9 results)