2013 Fiscal Year Research-status Report
スフィンゴシン1リン酸輸送体を標的とした新規免疫抑制剤の開発
Project/Area Number |
25870695
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
小林 直木 帝京平成大学, 薬学部, 助教 (90532250)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 脂質メディエーター |
Research Abstract |
血漿中のS1Pは、リンパ球の細胞膜に存在するS1P受容体に結合し、リンパ球の遊走を促進することで、胸腺および二次リンパ組織からのリンパ球の移出に必須の働きをしている。S1P受容体の機能的アンタゴニスト、フィンゴリモド(FTY-720)は免疫抑制作用を持っており、多発性硬化症治療薬として使用されている。本研究では、多検体処理可能なS1P輸送活性測定系を構築し、S1P輸送体を阻害する化合物のスクリーニングを行うことで、新しい免疫抑制剤の開発を目指している。 平成25年度は、赤血球を用いた簡便なS1P輸送活性測定系を構築するため、蛍光標識されたS1Pの赤血球からの放出について調べた。赤血球にスフィンゴシン-NBDを含むバッファーを添加し、37℃でインキュベートした後、遠心分離し、赤血球と上清から脂質抽出を行い、TLCにより展開した。LAS-3000を用いて、460nmの励起光照射により観察されるスポットを撮影し、定量したところ、スフィンゴシン-NBDが赤血球に取り込まれ、リン酸化されたことにより、時間依存的に細胞内のS1P-NBD量が増加した。また、細胞内で合成されたS1P-NBDは時間依存的に細胞外へ放出された。赤血球からのS1P-NBDの放出は、細胞外からの刺激を必要とせず、時間依存的であるという点で、赤血球からのS1Pの放出と同様である。私たちは、これまでの研究において、赤血球のS1P輸送体がATP依存性であり、ABCA輸送体の阻害剤であるGlyburideにより阻害されることを見いだしている。そこで、赤血球からのS1P-NBD放出に対するGlyburideの影響を調べたところ、赤血球のS1P輸送体と同様、Glyburideにより阻害されることが分かった。以上の結果より、S1P-NBDは赤血球のS1P輸送体によって輸送されると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
赤血球からのS1P-NBDの放出が確認できたことから。
|
Strategy for Future Research Activity |
赤血球のS1P-NBD輸送アッセイを多検体処理可能な系で確立する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画よりも物品費を低く抑えることができたため。 物品費、旅費、その他の経費として使用する予定である。
|
Research Products
(3 results)