2013 Fiscal Year Research-status Report
サービス品質向上・保証を目的としたP2Pストリーミング配信技術に関する研究
Project/Area Number |
25870696
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo University of Information Sciences |
Principal Investigator |
花田 真樹 東京情報大学, 総合情報学部, 助教 (40373039)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 再生途切れ時間 / P2Pストリーミング / デッドライン / 可用帯域推定 |
Research Abstract |
本研究の目的は,インターネットを介したオンデマンド型ストリーミング配信において,サービス品質向上・保証を目的としたP2P技術を確立することである.初年度として,下記の内容の検討・提案を行った. 1.ストリーミングコンテンツの内容の性質に基づくサービス品質の定義:本研究項目では,品質要求の厳しい映画やテレビに注目し,再生途切れの許容時間の検討を行った.現在,カラーテレビの放送規格であるNTSC方式では,1秒間当たりの再生フレーム数が30(30fps)となっている.NTSC方式では様々なコンテンツをストレスなく視聴できるので,NTSC方式を参考に,再生途切れ時間の許容時間を33ミリ秒程度とすることを検討した. 2.サービス品質保証(品質保証型)を目的としたP2P環境におけるストリーミング配信方式:本研究項目では,再生途切れの許容時間がない場合を想定したストリーミング配信方式の検討した.ピースを先頭から順番(再生順)に選択し,その受信速度をピースの再生に間に合うように調整することで再生途切れ時間をなくす方式を提案した.提案方式では,帯域幅の上限と再生デッドラインに間に合うための転送速度の下限の制約の下で,転送速度の合計を最大化する最適化問題を定義し,転送速度を算出している.シミュレーションによる評価により,P2Pネットワークにピアの参加する時間間隔が長い場合では,再生途切れ時間が発生しないことを示した. 3.ネットワーク負荷軽減を目的とした可用帯域予測算出式:近年,インターネットにおいて,P2Pアプリケーションがネットワーク帯域を圧迫していることが問題となっている.そのため,次年度実施予定だった可用帯域推定手法の検討を初年度に実施した.本研究項目では,推定に要するネットワーク負荷を軽減するために,遅延時間の増加率から直接的に可用帯域を推定する可用帯域予測算出式の検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の研究実施計画のとおりにおおむね進展している.実施計画では2つの研究項目を実施する予定であったが,次年度実施予定だった研究項目の一部である可用帯域推定手法の検討を初年度に3つ目の研究項目として実施した.前倒しで実施した理由としては,近年のインターネットにおいて,P2Pアプリケーションがネットワーク帯域を圧迫していることが問題となっており,P2Pアプリケーションやシステムの研究を行う上で同時に解決する研究項目であると考えたためである. 2つ目の研究項目に関しては順調に進展している.1つ目の研究項目に関してはカラーテレビの放送規格であるNTSC方式を参考に,再生途切れ時間の許容時間を定義している.研究実施計画ではコンテンツの種類別に再生途切れ時間の許容時間を明確にする予定であったが,P2Pシステムにおいてコンテンツの内容を予め把握することが困難な点から,様々なコンテンツに対応可能なストリーミング方式を検討することに変更した.品質要求の厳しいNTSC方式を想定することにより,様々なコンテンツに対応可能になると考えられる.次年度は,この定義した再生途切れ時間の許容時間を考慮した方式を検討する.
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度は,交付申請書の研究実施計画の3つ目の研究項目を実施する予定である.しかし,提案方式における計算量などが大きくなると実用性が低くなる可能性があり,また,時間的な関係からも,最後のP2Pアプリケーションのプロトタイプの作成まで至らない可能性がある.そこで,今後,本研究は,以下の2つの研究項目を中心に推進し,実用性と時間的な問題が解決できれば,プロトタイプ作成に着手する. 1.サービス品質向上(最善努力型)を目的としたP2P環境におけるストリーミング配信方式 本研究項目では,再生途切れの許容時間がある場合を想定したストリーミング配信方式を検討する.本研究項目では,平成25年度の2.の研究項目で再生デッドラインを考慮した方式の有用性が分かっているため,再生デッドラインを考慮し,確率的にピースを選択する発見的手法を用いた方式の検討を行っていく.再生途切れの許容時間は,平成25年度の1.の研究項目で定義した時間(33ミリ秒)を基に評価する.また,提案手法の計算量を算出し,実用性の観点からも評価を行う. 2.ネットワーク負荷軽減を目的とした可用帯域推定手法 本研究項目では,平成25年度の3.の研究項目で実施した可用帯域予測算出式の検討を基に,この可用帯域予測算出式を用いた可用帯域推定方式の提案を行う.最終的には,実機への実装を行い,ネットワーク負荷軽減と推定精度の観点から評価を行う.
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