2013 Fiscal Year Research-status Report
好中球由来のMMP9を介した急性大動脈解離の発症機構
Project/Area Number |
25870718
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
清水 良子 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (30348643)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 大動脈解離 / MMP |
Research Abstract |
大動脈解離患者からの血液検体を収集しMMP9を測定し未破裂大動脈瘤患者、心筋梗塞患者、健常群と比較したところ、大動脈解離群では有意に血中MMP9が上昇していることが確認され、MMP9が大動脈解離のバイオマーカーとなりうる可能性が示唆された。さらにヒト大動脈解離患部血管においてはヒト未破裂大動脈瘤患部検体にくらべてMMP9が好中球に一致して有意に発現が上昇していることが免疫染色により示された。次に、大動脈解離発症の機序についての検討を動物モデルで行うため、BAPNを幼弱マウスに前投与して大動脈瘤を形成し、そこにアンジオテンシンIIを投与したところ投与後2時間以内には100%の確率で大動脈解離が惹起されるモデルを確立することに成功した。このモデルにMMP9の酵素活性を選択的に阻害するONO-4817を投与したところ有意に大動脈解離の発症が抑制された。またMMP9ノックアウトマウスに同様にBAPNを前投与してAngIIを投与したところ大動脈解離の発症は90%の確立で抑制された。以上より大動脈解離の発症にはMMP9が関与していることが示された。また大動脈解離の発症における好中球の寄与を検討するために上述のマウス大動脈解離モデルにGr1抗体を用いて好中球除去処理を行ったところ有意に大動脈解離の発症が抑制された。したがって、大動脈解離の発症には好中球由来のMMP9が関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト大動脈解離患者からの血液検体と患部血管検体でMMP9が上昇していることが確認された。これは当初のMMP9が大動脈解離のバイオマーカーとしての意義の検討という点で、実際にMMP9が有用である可能性を示唆する重要な結果が得られたものである。またマウスにおいて大動脈解離を100%の確立で惹起させることができるモデルを確立できたことは、今後の大動脈解離の病態発症研究を進めるうえで大きな進展であるといえる。さらに、このマウスモデルを使ってノックアウトマウスや阻害剤によりMMP9の除去により大動脈解離の発症が抑制されるというデータが得られた点は、MMP9がバイオマーカーとしてだけでなく、大動脈解離の発症機序に直接関与していることを示唆するものであり、大動脈解離の発症機序におけるMMPの関与を検討するという本研究の目標における重要な進展であると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は大動脈解離の発症機序におけるMMP9の作用機序について、今回樹立した動物モデルでの解離惹起因子として重要であることがわかったアンジオテンシンIIとの相互関係を中心に検討していく。具体的には、まず動物モデルを用いてノルエピネフリンでも同様に大動脈解離を惹起させることができるかどうかを検討する。さらにマウス大動脈解離モデルにける解離直前の血管を用いた免疫染色検討などから組織における酸化ストレスの測定を行う。さらには細胞実験としてアンジオテンシンIIによる好中球に対する酸化ストレスの増強作用とそれによっておこるMMP9の活性化メカニズムについても検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度使用予定であったマウスの飼育費およびマウス代金、使用薬剤が、マウスモデルの樹立が予想よりも速やかに成功したため、当初の予定よりも少なくて済んだため次年度使用額が生じた。 酵素を用いて、好中球と血管平滑筋細胞をマウスから単離し、共培養を行って、アンジオテンシンIIで刺激した血管平滑筋細胞からの活性酸素が好中球のMMP9活性を上昇させることができるか、また好中球からのMMP9産生を上昇させることができるかの検討実験に用いる予定である。
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Research Products
(3 results)