2015 Fiscal Year Annual Research Report
民主化と宗教の関係に関する考察:1970年代ポーランドを事例として
Project/Area Number |
25870724
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
加藤 久子 國學院大學, その他部局等, 研究員 (10646285)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カトリック教会 / ポーランド / 学校外教育 / 体制移行 / 社会主義 / 博物館 / 記憶 / 都市 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はポーランドを事例とし、「民主化の第三の波」と呼ばれる南米、南欧、東欧の体制移行と宗教(特にカトリック教会)の関係を明らかにすることを目的としている。本年度は、社会主義政権下でのカトリック教育の実施をめぐる政教間でのせめぎ合いに注目した実証研究に主に取り組んだ。その成果として、「宗教と社会」学会第23回学術大会(於・東京大学)にて「社会主義期ポーランドにおけるカトリック教育」と題する報告を行った。通過儀礼や余暇活動(サマーキャンプ)など学校外教育に着目することで、従来の研究で中心的に論じられてきた公教育をめぐる政教間の対立とは異なる視点を提示した。また本研究成果の一部を含む論文「社会主義政権下での宗教実践―スターリン期ポーランドの新興工業都市の暮らし」を執筆し、新興団地における宗教行事の実施を通して、共同体が「創出」されるプロセスについて説明した(公刊は2016年)。
副次的テーマとして、社会主義期の学校外教育(博物館や史跡の見学、祝賀行事)において、歴史や政治イデオロギーがどのように扱われてきたかについて、文献や一次史料の解読を行った。それに付随し、「他者」であるところのユダヤ人の歴史を当時のポーランドの博物館がどのように表象してきたかという観点から、論文「ポーランド人にとっての<アウシュヴィッツ>―アウシュヴィッツ=ビルケナウ ナチス・ドイツの強制絶滅収容所」を執筆したほか、仙人の会11月例会(於・明星大学)にて「他者の歴史を展示するということ―ポーランドにおけるホロコースト・サイトの保存、展示」と題する報告を行った。
その他、アウトリーチ活動として、一般向けの雑誌や民間シンクタンクの定期刊行物に、フランスにおける2度のテロとその欧州社会への影響(特に反ユダヤ主義の動向)、独仏ソを例に欧州での終戦70周年記念行事の特徴などを説明する論説を寄稿した。
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Research Products
(4 results)