2014 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性皮膚炎の難治性痒み発現に及ぼすグランザイムAの関与の解明
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25870728
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
木村 有太子 順天堂大学, 医学部, 准教授 (00459091)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | プロテアーゼ / アトピー性皮膚炎 / かゆみ |
Outline of Annual Research Achievements |
アトピー性皮膚炎(AD)は増悪、寛解を繰り返す痒みのある湿疹を主病変とする疾患である。しかし、ADの痒みは一般的に痒み治療に用いられているヒスタミンH1受容体拮抗薬(抗ヒスタミン薬)が奏功し難い。このような抗ヒスタミン薬抵抗性の難治性痒みの原因の1つに、プロテアーゼがある。現在、数種類のセリンプロテアーゼ(例:トリプターゼ、カリクレイン)がin vivoにおけるヒスタミン非依存性痒みメディエーターとして報告されている。グランザイム(Gzm)はナチュラルキラー(NK)細胞や細胞傷害性T細胞で産生されるセリンプロテアーゼの一種であり、ヒトではGzmA, B, H, K, Mの5種類が知られている。Gzmはパーフォリンとともに遊離され、パーフォリンによって形成される小孔を通り、標的細胞のアポトーシスを誘導する。本研究はAD患者の難治性痒みの発現におけるGzmの関与を解明することを目的とし研究を行った。当初はGzmAを中心に研究を進めたが、GzmAはADの病態や痒みスコアと相関が無いことが判明したため、平成26年度からは最も強力なアポトーシス活性を有するGzmBにも焦点を当てて解析を進めた。その結果、AD患者の血漿中GzmA及びB濃度はいずれも有意に高かった。また、痒みスコアである視覚的評価スケール(VAS)、ADの病勢を反映するSCORAD、ADの痒みを反映する血漿GRP濃度、ADのバイオマーカーである血清TARC濃度との間に、血漿GzmB濃度はいずれも有意な正の相関が認められた。一方、GzmAは全く正の相関が認められなかった。以上の結果は、GzmBはADの痒みや皮膚炎の程度を示すバイオマーカーになりうることを強く示唆した。
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