2014 Fiscal Year Annual Research Report
近代イタリアにおける家族モノグラフ法の受容―ファシズム時代の農村家族調査を中心に
Project/Area Number |
25870733
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
山手 昌樹 上智大学, 文学研究科, 研究員 (70634335)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | イタリア / ファシズム / 社会調査 / モノグラフ法 / セルピエーリ係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、1930年代当時、国立農業経済研究所(INEA)理事長であった農業経済学者アッリーゴ・セルピエーリ(Arrigo Serpieri, 1877-1960)の思想と活動に焦点を当てるとともに、農村家族調査に関わった人的ネットワークの解明を試みた。冬季には、前年度のイタリアにおける資料調査において収集できなかった調査結果ならびに調査者の経歴などについて、イタリア国立中央文書館、ローマ国立図書館、フィレンツェ国立図書館、ミラノ大学農学部図書館、トリノ大学経済学部図書館において閲覧ならびに複写した。 セルピエーリについてはまず、前年度に収集した彼の著作を言説分析しながら、彼の農民観を確認した。次に、彼が家族調査を実施するにあたり考案し、後に「セルピエーリ係数」と呼ばれることになった農家測定式について、19世紀末から20世紀初頭にかけて実施された農民調査を手がかりに、類似の手法との比較や変遷を確認した。それから、INEA農村家族調査報告書の分析を通じて、第二次世界大戦後にまで大きな影響を及ぼすことになった、セルピエーリ係数の問題点を明らかにした。 以上の分析を通じて得られた研究成果は、セルピエーリの農民観およびセルピエーリ係数の特徴については、東海大学史学会大会(2014年6月)において口頭報告した。また、セルピエーリ係数が考案された背景を知る手がかりとして、上院議員エウジェーニオ・ファイーナ伯爵(Eugenio Faina, 1846-1926)の農地改良事業や家計調査に焦点を当て、その成果を『東海史学』(2015年3月)に公表した。
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