2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25870743
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
山本 健 中央大学, 理工学部, 助教 (00634693)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 統計物理学 / 確率モデル / 社会現象 / ベキ乗則 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題で取り扱う確率モデルは「正のフィードバック」と「履歴の蓄積」の効果を単純化して取り入れたものであり、商品が売上をあげる過程を模擬していると考えられる。今年度は、実際の売上データとモデルの比較を行なった。 商品が売上をあげる過程についても知りたいので、総売上だけでなく売上の推移のデータが必要である。さらに、オンラインで入手可能であることが望ましい。これらの条件を満たすデータとして、アメリカの映画の興行収入のデータベース(Box Office Mojo, The Numbers) を利用した。映画は作品によって製作規模に大きな開きがあるため、興行収入額の分布は製作規模のばらつきを反映したひずんだ分布になることが分かった。モデルと比較すべきなのは、映画の興行収入を製作費で割った「投資利益率」という量の分布である。実際の映画の投資利益率の累積分布はベキ的な減衰を示し、そのベキ指数は-1.12であった。一方、映画の売上が本課題のモデルにしたがって変動すると仮定して見積もったベキ指数は-1.10となり、実際の指数と近い値が得られた。この結果から、本研究ので提案するモデルが現実の映画の集客の特徴をうまくとらえていると考えられる。 さらに、週ごとの興行収入が指数的に減衰するという性質がモデルから予測される。映画の興行収入額も週を重ねるごとに指数的に減衰することが確認できた。(ただし、指数的な減衰は他の研究でも報告されている。)この結果も、本研究課題のモデルが実際の売上の過程を模擬していることの1つの根拠である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
映画の興行収入データの解析は、データの取得、解析から学会および論文での発表まで、ほぼ当初の研究計画どおりに遂行できたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画どおりに、CDの売上データとモデルとの比較を行なう。映画だけでなくCDの売上もモデルとよく一致していることを確認することで、モデルの一般性を示すことを目指す。可能なら、他のソーシャルデータの分析にも取り組みたい。
|
Causes of Carryover |
物品の調達の遅れとキャンセルのため
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費および学会参加費として使用する。
|
Research Products
(5 results)