2016 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of long-tailed phenomena using solvable stochastic processes
Project/Area Number |
25870743
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
山本 健 琉球大学, 理学部, 講師 (00634693)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 確率過程 / ベキ分布 / 対数正規分布 / 社会物理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
社会現象や生物現象に代表される、いわゆる複雑系においては、典型的なサイズより著しく大きな要素が少数ながら存在する。本研究では、このようなロングテール現象のモデルとなりうるシンプルな確率過程を解析すること、および実際の現象との定量的な比較をおこなうことを目的とする。 最終年度は、生物現象および社会現象に関する研究成果が得られた。 バクテリアを使った実験研究から、バクテリアの長さが対数正規分布にしたがうことが示され、現象論的な確率モデルも提案されていた。この確率モデルを数学的に調べることで、対数正規分布にしたがう確率変数の無限和の形でバクテリアの長さを求めることができた。さらに、実験条件によっては長さ分布を対数正規分布でよく近似できることを数値的に示した。この解析によると、バクテリアの種類や培養条件を変えると長さ分布が対数正規分布からずれることが予想される。今後は、実験系の研究者と連携して予想を検証したい。 社会現象に関する成果として、法律の条文数の分析をおこなった。法律のテキストデータを分析し、日本とドイツの法律の条文数の分布がともに対数正規分布とよく一致することを明らかにした。2つの国の法律が共通の分布にしたがうことから、言語や社会制度によらないメカニズムの存在が示唆される。そこで、法律の条文が木構造をもつことを仮定し、一定の分岐数をもち、深さが正規分布にしたがう木のサイズが対数正規分布にしたがうというモデルを提案した。実際の法律の章立ての構造を分析し、このモデルが定量的に妥当であると結論した。
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Research Products
(7 results)