2014 Fiscal Year Research-status Report
磁界共振結合を用いたセンシング・無線電力伝送の同時実現に関する研究
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25870748
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
中村 壮亮 中央大学, 理工学部, 助教 (20634695)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高効率無線充電システム |
Outline of Annual Research Achievements |
安全な無線電力伝送の中でも、磁界共振結合を用いた無線充電に関しては、理想的に広いエアギャップ・高い最高伝送効率を実現できるやめ、盛んに研究が進められている。近年では、商用システムの実現方法に関しても議論が盛んに行われており、国際標準規格Qiなどではセンシングや通信機能を組み込んだ標準プロトコルが提案されている。この中で、センシングに関しては、伝送レンジにおける充電対象の存在有無を確認するために不可欠である。そこで、入力インピーダンス測定に基づくパッシブな結合係数推定および結合係数の位置依存性に着目した位置推定に関して基礎研究を進めてきた。この手法は、高周波電源やアンテナ等のハードウェアを共通化できるものであり、無線充電・センシングの同時実現と称して期待されている。本研究課題は、これらの技術を元に、(1)姿勢センシング・(2)大規模化・(3)同時実現時の弊害解消などに取り組むものである。 平成25年度は、(2)に関して送信アンテナへの配線を低減した中継方式のセンシング手法を提案し、その有効性を示した。しかし、(1)・(2)に関しては問題の分析に止まっており、(1)に関してはアンテナ自由度確保のためQ値向上によるセンシングレンジの拡大が必要であること、(3)に関しては熱損失に起因する回路定数変化による共振度低下の抑制が必要であることが示された。 そこで平成26年度はこれらの実現に取り組んだ。(1)に関しては、Q値が変化した時と同様の振る舞いを示すQ値制御型アンテナを提案・開発した。Q値向上は、元アンテナに内蔵した小型アンテナから消費電力分を打ち消す磁界エネルギーを正帰還させる方法で実現した。Q値50倍程度を達成した。(3)に関しては、熱問題を抑制できる高価・大型な真空コンデンサを比較対象とし、空冷ベースの温度制御機構によって同等の抑制効果を実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初掲げた(1)~(3)の課題に関して、一定の成果が得られた。しかし、(1)に関しては姿勢センシングへの適用を一層推進する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
課題(1)に関して、Q値制御可能なアンテナの開発に成功したものの、誤差最小のQ値を対象との距離に応じて自動選択する機能の組み込みが必要であり、さらには姿勢センシングへの応用が必要である。今後はこれらを積極的に進めて行く。
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Causes of Carryover |
物品の価格変更や購入不用品の発生、学会旅費の節約等により、僅かながら見積もりとの乖離が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
姿勢センシングのシステム構築費用や研究成果の学術雑誌・学会発表などに有効利用する。
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