2013 Fiscal Year Research-status Report
両大戦間期におけるトルコ共和国の国際協調外交と民主主義の相克
Project/Area Number |
25870749
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
宇野 陽子 津田塾大学, 学芸学部, 助教 (60459310)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 資料収集 / 国際情報交換 トルコ |
Research Abstract |
2013年5月に日本中東学会にて、「抵抗運動から国民解放戦争へ―第一次世界大戦後オスマン帝国における政治運動の多様性と糾合―」のタイトルで研究発表を行った。この報告では、トルコ共和国における政治的多様性の萌芽が第一次世界大戦後の占領に反対する抵抗運動に見られたこと、しかしそれがケマルのリーダーシップ確立過程において周辺化されたことを示した。これは、研究代表者宇野がこれまで取り組んできたトルコ共和国建国直前の時期における政治的諸集団の展開と、本報告で取り組む共和国建国後の内政とをつなぐ位置付けの研究成果である。 加えて、3月にイスタンブル(トルコ)に出張を行い、両大戦間期のトルコ内政・外交に関する同時代史料をトルコにおいて収集した。特に新聞・雑誌等の当時の定期刊行物や、近年発行された研究書を中心に収集・購入した。また、現地の研究者らとの交流を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2013年度の夏にトルコ及びイギリスでの調査を計画していたが、トルコの政情不安により3月にこれを延期した。トルコでの調査は全面的に不可能とは言えなかったが、宇野が主として利用する図書館はデモ隊が座り込んだ公園のすぐ横に位置しており、実質的には極めて困難と判断した。イギリスでの調査は3月に組み込むことができなかったため、2014年度に延期せざるをえなくなった。夏にイギリスでの調査を単独で行わなかったのは、旅費の節約のためである。 ただし、国内の図書館等で所蔵しているイギリス・トルコ関係資料や、インターネットで入手可能な資料等を利用し、2014年度に行う調査の下準備を十分に行うことができたので、現在のところ概ね順調と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度に行ったトルコ共和国建国直前の政治状況の総括および今後の調査の下準備をもとに、2014年夏のトルコ・イギリス調査においては戦間期の内政・外交関係資料をより網羅的に収集する。 加えて、これらの成果を国内外の雑誌に投稿及び研究報告の実施を通じて、広く発表する予定である。 調査にあたって2013年度に問題となったトルコの情勢については、今後も同様の混乱が生じる可能性を鑑み、他の図書館も利用して柔軟に対応できるよう情報を集める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・調査地の一つであるトルコの情勢不安のため、夏に実施予定だった海外調査を3月に延期した。そのため、トルコと同時に実施予定だったイギリスでの調査を日程に組み入れることができなくなり、2014年に持ち越すことになった。 ・トルコで購入した書籍の代金分が書類の不備等から未執行になっている。 ・イギリスでの調査を2014年夏に行う予定であり、その際に使用する予定である。 ・2014年3月に購入した書籍の未執行分については書類の不備を是正し、近日中に執行予定である。
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