2013 Fiscal Year Research-status Report
抗菌ペプチドディフェンシンの口腔粘膜における発現変化の検索
Project/Area Number |
25870753
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
大神 浩一郎 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (40366175)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ディフェンシン / 抗菌ペプチド |
Research Abstract |
義歯装着者において口腔衛生状態が不良にもかかわらず,口腔粘膜の炎症が認められない症例が見受けられる.これは自然免疫での防御反応によるものと考えられ,抗菌ペプチドであるディフェンシンが関与していると考えられる.しかしその発現量に関与する因子は明らかとなっていない.本研究は,高齢者では全身疾患や薬物など影響を及ぼす因子が多いため,まず健常者で唾液中のβディフェンシン量に影響を及ぼす因子について検討を行った. 対象は健常有歯顎者22名(男性14名,女性8名,平均年齢29±2歳)とした.実験開始2時間前より飲食・喫煙・口腔清掃を禁止した.吐出法による安静時全唾液量の計測後,舌苔付着程度Shimizuらの方法にて算出した.採取した唾液よりβディフェンシン量をELISA法にて測定した.総嫌気性菌数をブルセラHK寒天培地に接種し1週間嫌気培養後に,またカンジダ菌数をカンジダGE培地に接種後1週間好気培養しCFU計測を行って測定した.βディフェンシン量,総嫌気性菌数,安静時唾液量,カンジダ菌数,舌苔付着程度を50パーセントタイルで2値化後,βディフェンシン量を目的変数,総嫌気性菌数,安静時唾液量,カンジダ菌数,舌苔付着程度を説明変数としたロジスティック回帰分析後,ステップワイズ法にて解析を行った(α=0.05). βディフェンシン量に対し,総嫌気性菌数が関連する因子として抽出された.βディフェンシンは粘膜表面に分泌される初期防御に関連する抗菌ペプチドの一つであることから,口腔内細菌数の増加に伴う抗菌活性によりβディフェンシン量が増加したと考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ディフェンシン量を口腔健康状態の指標の一つとしての応用を視野に,まず若年者におけるディフェンシン量の差異の検討を行うこととした. 健常有歯顎者22名(男性14名,女性8名,平均年齢29±2歳)に対し以下の測定を行った.吐出法による安静時全唾液量の計測後,舌苔付着程度Shimizuらの方法にて算出した.採取した唾液よりβディフェンシン量をELISA法にて測定した.総嫌気性菌数をブルセラHK寒天培地に接種し1週間嫌気培養後に,またカンジダ菌数をカンジダGE培地に接種後1週間好気培養しCFU計測を行って測定した.βディフェンシン量,総嫌気性菌数,安静時唾液量,カンジダ菌数,舌苔付着程度を50パーセントタイルで2値化後,βディフェンシン量を目的変数,総嫌気性菌数,安静時唾液量,カンジダ菌数,舌苔付着程度を説明変数としたロジスティック回帰分析後,ステップワイズ法にて解析を行った(α=0.05).その結果,βディフェンシン量に対し,総嫌気性菌数が関連する因子として抽出された.βディフェンシンは粘膜表面に分泌される初期防御に関連する抗菌ペプチドの一つであることから,口腔内細菌数の増加に伴う抗菌活性によりβディフェンシン量が増加したと考える. 以上の結果より,初年度における若年者におけるディフェンシン量の差異を明らかにできたことから概ね達成できていると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
ディフェンシン量を若年者と無歯顎者との比較,検討を行う.対象は口腔清掃指導を受け,装着後2年以内の定期診査中の上下顎総義歯患者30名に対し,初年度と同様に以下の計測を行う.吐出法による安静時全唾液量の計測後,舌苔付着程度Shimizuらの方法にて算出する.採取した唾液よりβディフェンシン量をELISA法にて測定する.総嫌気性菌数をブルセラHK寒天培地に接種し1週間嫌気培養後に,またカンジダ菌数をカンジダGE培地に接種後1週間好気培養しCFU計測を行って測定する. 得られた結果をもとに,若年者群とのディフェンシン量を比較検討し,基準値を探索する.
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Research Products
(1 results)