2014 Fiscal Year Research-status Report
文化的資源の復元に向けた過去のデジタル写真による3次元形状把握手法の開発
Project/Area Number |
25870765
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
國井 洋一 東京農業大学, 地域環境科学部, 准教授 (10459711)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 古写真 / 歴史的建造物 / 3次元情報 / 二点透視法 / 3DCGモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、失われた現存しない歴史的建造物を復元するための3次元情報取得を目指し、建造物が写し込まれている1枚の古写真を用いての3次元形状把握を試みた。 写真に写し込まれている対象物の3次元情報を取得する一般的な方法としては写真測量がある。写真測量は対象物を複数の位置からステレオ撮影した2枚以上の写真を用いて,対象物の3次元情報を取得する技術である。しかしながら、一般的な写真測量では、写真1枚のみで対象物の3次元情報を取得することが不可能である。そのため,写真測量を用いて現存しない建造物の3次元情報を取得しようとした場合、建造物がステレオ撮影されている古写真が必要となるが、そのような写真が撮影され、かつ存在している可能性は低い。すなわち、写真の入手は困難となり、対象が大幅に限定されることになる. 以上の背景より、本研究では古写真1枚のみを使用し、対象とする建造物の3次元情報を取得する方法を考察することを目的とした。今回対象とした建造物は、写真上において遠近法の二点透視法に近い構成で写し込まれている旧帝国劇場である。旧帝国劇場の写真上からは2点の消失点を推定することで、撮影に用いたカメラの焦点距離、撮影点から対象物までの奥行き距離等の推定値を順次求め、それらの推定値より旧帝国劇場の表面の各点に対する3次元座標を算出した。 これより、写真1枚で写し込まれている建造物の概形を把握することができる。また、古写真を用いたことにより,写真が撮影された時代を問わず3次元情報を取得できることから、現存しない建造物の外観把握の一助になると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に開発した計測ソフトウェアに対し、平成26年度は具体的な対象物に対する3次元形状把握を試みた。その結果、精度面に課題は残るものの、概形の把握までは達成されたといえるため、進捗状況はおおむね順調であるといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
喫緊の課題として、計測精度の安定化が挙げられる。さらに失われた文化的資源に対するより多くの写真収集を実施し、3次元形状の把握ならびにモデリングを進め、応用事例を増やす。これにより、文化的資源の復元がより多くの事例に対して実施されることとなる。
|
Causes of Carryover |
平成26年度は対象地を絞って調査を実施したため、人件費の支出が予定よりも少額となった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は文化的資源の写真収集で多くのアルバイトを手配する予定のため、人件費に充てたいと考えている。
|
Research Products
(4 results)