2013 Fiscal Year Research-status Report
lincRNA型バリアントを介した刷り込み遺伝子Zdbf2制御機構の解明
Project/Area Number |
25870766
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
小林 久人 東京農業大学, 応用生物科学部, 准教授 (70632727)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ゲノム刷り込み / DNAメチル化 / 発生・分化 / エピゲノム / 非コードRNA |
Research Abstract |
交付申請書の実施計画に基づき、以下の研究を行った。(1)マウス胚におけるZdbf2lincのmRNA発現・DNAメチル化パターンを解析した結果、胚盤胞期から原腸陥入期にかけて、胚体ではプロモータ領域の両アレル高メチル化とともにZdbf2lincの発現が失われる一方、胚体外組織では方アレル性メチル化および片アレル発現が維持されることが明らかとなった。またヒト胎盤組織におけるZdbf2linc様の長鎖非コードRNA型遺伝子GPR1ASを同定し(国立成育医療センター研究所との共同研究)、組織特異的な発現パターン・メチル化パターンがマウス・ヒト間でよく保存されていることが明らかとなった(Epigenetics 2013)。(2)Zdbf2遺伝子ターゲティングベクターを作製した。これまでに相同組み換えES細胞を約250株スクリーニングしたが、組み換え陽性株は得られていない。(3)マウス胚・胚体外組織におけるヒストン修飾解析のため、インプットDNAを減らしたChIP-seq実験系の改良を行っている。現時点で。10万細胞からのH3K4me3のライブラリー作成に成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Zdbf2lincのヒトでのオーソログ(GPR1AS)の同定し、各プロモーター領域におけるDNAメチル化解析結果と合わせてEpigenetics誌に報告した。Zdbf2のノックアウトES株の作製には至っていないが、近年CRISPR/Cas9による簡易なゲノム編集ツールが普及しており、現在この新システムに切り替えて、Zdbf2,Zdbf2lincのノックアウトマウスの作製に取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
CRISPR/Cas9システムによりZdbf2およびZdbf2lincのノックアウトマウス作製を進める。この新システムは簡易かつ速やかなノックアウト胚の確立が可能であり、各遺伝子・転写物の生物学的役割の解明が期待される。また本解析で明らかになったZdbf2lincとZdbf2の組織特異的な転写制御機構は、ゲノム刷り込み機構を制御するエピジェネティクス機構の特性を理解するうえでの重要なモデルであり、DNAメチル化・ヒストン修飾パターンの統合的評価からエピゲノム変換の機序を明らかにすることが急がれる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度(H26年度)4月初めの学会出張費にあてるため。 4月6-10日に開催される学会"Epigenetic Programming and Inheritance"(アメリカ・ボストンにて開催)への出張費をよび参加費に使用する。
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