2014 Fiscal Year Annual Research Report
lincRNA型バリアントを介した刷り込み遺伝子Zdbf2制御機構の解明
Project/Area Number |
25870766
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
小林 久人 東京農業大学, 応用生物科学部, 准教授 (70632727)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Genomic imprinting / Epigenetics / DNA methylation / lncRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
[平成26年度の成果] ターゲティングベクターを用いたZdbf2ノックアウトES細胞のスクリーニングを約250株行ったが、ポジティブクローンは得られなかった。一方、近年登場したCRISPR/Cas9システムの採用により、Zdbf2およびZdbf2lincノックアウトマウス作出を試みた。ターゲットシーケンスを挿入したpx330 plasmidを受精卵雄性前核に挿入し、Cas9による切断を行ったところ、80%以上の割合で特異的エキソンの欠損変異誘導に成功した。
[研究機関全体を通じて実施した研究の成果] マウス1番染色体上のインプリント遺伝子Zdbf2のlncRNA型スプライシングバリアントであるZdbf2lincについて解析した。本研究により、解析対象であるマウスZdbf2lincのオーソログであるGPR1ASをヒトで同定することに成功した。Zdbf2linc/GPR1ASは胚発生初期あるいは胎盤特異的に発現するlncRNAであり、体細胞型の二次的刷り込みを誘導することが示唆された。これらの遺伝子機構はヒト・マウス間でよく保存されていることも証明され、エピジェネティック制御機構が重要な働きを担うことが示された。特筆すべき点は、Zdbf2領域では一次的刷り込みと二次的刷り込みの位置が異なる、つまり刷り込みの”確立”と”維持”別箇所で成立することである。Zdbf2領域以外のインプリント遺伝子は、その制御領域が同一箇所で成立しており、この新しい刷り込み機構の発見はこれまでの”ゲノム刷り込み機構”の概念を覆すものである。発生初期段階での刷り込みの変化に注目することにより、新たな概念のもとに成立する未知のインプリント遺伝子の特定、あるいはそれらのエピジェネティック制御機構の解明につながると期待される。
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Research Products
(4 results)