2013 Fiscal Year Research-status Report
組合せ最適化問題に対するカオスサーチ法のパラメータ値設定法の開発
Project/Area Number |
25870770
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
松浦 隆文 東京理科大学, 工学部, 助教 (70579771)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | カオスニューラルネットワーク / 組合せ最適化問題 / ヒューリスティック解法 / メタ戦略 |
Research Abstract |
本研究の目的は,組合せ最適化問題の近似解を効率的に求めることができるカオスサーチ法のパラメータ値を,自動的に決定する手法を提案することである.カオスサーチ法は,カオスニューロンモデルを用いてニューラルネットワークを構築し,組合せ最適化問題が内包する局所最適解をニューロンの不応性効果により回避する手法である.不応性効果が効果的に働くためのパラメータ値を自動的に決定する手法を構築するために,25年度は,条件の異なる様々な問題を解き,カオスニューロンの振る舞いを調べることであった. まず,単一のカオスニューロンモデルに着目しパラメータ値の違いによる内部状態値の違いについて解析を行った.その結果,カオスニューロンモデルがカオス応答をするパラメータ値の場合に,良好な近似解が得られることが確認できた.今後は,効果的な探索ができるパラメータ値からそうでないパラメータ値に値が変化するきに,どのような分岐現象が起きているかを調べる予定である. 次に,パラメータ値の違いにより,ニューラルネットワークの状態がどのように変化するのかを調べるた.具体的には,相互結合型カオスニューラルネットワークのパラメータ値を変化させ,得られる解の精度による解析を行った.解はカオスニューロンモデルの内部状態値をもとに決定されるが,どのように解を決定すれば良い解が得られるかは,未だ明らかにされていない.そこで,種々の手法を提案し性能評価を行った結果,内部状態値の総和を最大にすることで良い解が得られることが明らかとなった. これらの結果は国際会議1本,国内の研究会・講演5本で結果を公表した.本年度得られた解析結果に基づき,カオスダイナミクスの定量的な手法を考案し,パラメータ値の決定方法を今後構築する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
巡回セールスマン問題,二次割当問題,モチーフ抽出問題に対するカオスニューロンモデルを用いた最適化アルゴリズムが良好な解を得るためにはパラメータ値をどのように決定するかが重要である.本年度では,単体のカオスニューロンに着目し,パラメータ値とカオス的な応答の関係,外部入力とカオス的な応答の関係性について解析を行った.研究計画では,ニューロサイエンスの分野で用いられる指標による,スパイク間隔の解析を行う予定であったが,大規模問題に対する十分な数値実験を行えておらず,その点は不十分である.しかし,数値実験の結果から,外部入力を注入しないカオスニューロンモデルがカオス的な振る舞いをすることが確認できた.また,外部入力が入力されるカオスニューロンモデルの解析を行い,微小な外部入力ではカオス的な振る舞いをすることが確認できたことからも,当初設定した本年度の達成目標を達成できたと想われる.本年度では,国内での研究発表として,電子情報通信学会にて研究成果の発表を行なっている.
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Strategy for Future Research Activity |
カオスニューラルネットワークを用いた最適化手法のパラメータ値自動決定法の実現のために,平成25年度は,単一のカオスニューロンに着目し,パラメータ値とその振る舞いの関係を明らかにした.今後は,当初予定していた平成26年度の研究計画に加え,25年度に実施予定であった,ニューロサイエンスの分野で用いられる指標による,スパイク間隔の解析も行う.既に小規模な問題例に対しての解析は行っているため,この計画を加えても当初予定していた平成26年度の研究計画遂行には問題は生じない.その結果を踏まえ,効果的な探索を行うためにはパラメータ値をどのように変化させるのが良いかを明らかにし,パラメータ値自動決定アルゴリズムの提案を行う.また,本研究計画の効率的な遂行ためにも,数値実験の考察,パラメータ値自動決定法の評価に関して,池口徹教授(東京理科大学)と木村貴幸氏(日本工業大学)と得られた結果に関して積極的な研究議論を行い,より効率的なアルゴリズムを提案する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大規模問題に対してニューロサイエンスで用いる手法による解析を行う予定であったが,小規模な問題にしか適応できず,そのため高性能な計算機が必要なかったため. 研究目標を達成するためには,平成25年度に行えなかったニューロサイエンスの分野で用いられる手法による,スパイク列の解析が不可欠である.その解析を平成26年度に行うためも,高性能な計算機が不可欠である.また,大規模な組合せ最適化問題を高速に解くためには並列計算を行う必要があり,研究計画を遂行するためにも,平成25年度に申請した計算機の購入を平成26年度に行う.
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Research Products
(6 results)