2013 Fiscal Year Research-status Report
抽出法によるアミノ酸製造における新規タンパク質分解法の開発
Project/Area Number |
25870783
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
角田 雄亮 日本大学, 理工学部, 助教 (50459856)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | タンパク質加水分解 / 固体酸触媒 |
Research Abstract |
当該年の目標はタンパク質の加水分解における陽イオン交換樹脂の役割を把握し、加水分解を促進させるためにはどういった条件が必要かを解明することであった。 そこで、陽イオン交換樹脂によるタンパク質吸着挙動の把握、吸着したタンパク質の加水分解機構の解明について検討を行った。具体的には、羊毛と蒸留水を反応器に封入し、125℃~175℃で加圧熱水処理を行い、羊毛を可溶化させた。この過程で、羊毛を可溶化する際に加熱しすぎると過分解が生起し、樹脂との吸着点が失われ、吸着を阻害して加水分解効率が低下することが判明した。そのため、過分解を抑制した可溶化条件について把握を行った。その結果、若干の塩酸を添加することで比較的低温で可溶化できることを明らかにした。 一方、陽イオン交換樹脂による可溶化した水溶性タンパク質の加水分解効果について検討した。内容積100mlのセパラブルフラスコに可溶化させた液相と触媒としてスルホ基を有する陽イオン交換樹脂(H形またはNa形樹脂)または塩酸を所定量装入した。ホットスターラにて水平攪拌を行いながらで95℃まで加熱し、6時間温度を保持して加水分解させた。このとき、H形樹脂のプロトン交換容量と塩酸のプロトン放出量は同量となるように添加した。その結果、塩酸を添加した場合に比べてH形樹脂を添加するとアミノ酸収率が高いことが判明した。塩酸にNa形樹脂を添加しても効果が発現したことから、吸着作用による加水分解効果があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的を達成するために本年度検討すべき項目はタンパク質の加水分解における陽イオン交換樹脂の役割を把握であった。これに関してスルホ基を有する陽イオン交換樹脂(H形またはNa形樹脂)を用いることでイオン交換樹脂の役割を明確にすることができたため、おおむね順調に研究が進展していると言える。一方、研究途中で可溶化時の過分解に関する問題が新たに生じた。過分解すると触媒であるイオン交換樹脂との吸着点が失われ、吸着が阻害されるため加水分解効率が低下する。そこでこの問題について解決すべく、過分解を抑制した可溶化条件について把握する検討も行った。その結果、若干の塩酸を添加することで比較的低温で可溶化できることを明らかにし、過分解を抑制できることがわかった。そのため、新たに生じた問題についてもおおむね改善できたと言える。これらの結果は次年度における反応装置の基礎設計に有用な結果であり、本研究の推進に必要なデータが得られたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の目標はアミノ酸を高収率で獲得するための条件の策定およびプロセス化に向けた基礎検討である。最終的には、実機化を目指すにあたり固定床反応装置の導入を試みる予定である。これは連続反応可能であることを特徴としており、溶離液用バルブを追加してアミノ酸の回収作業の拡張も期待できる。ただし、羊毛の可溶化において温度を上昇させすぎると過分解が生起することが判明しており、若干の塩酸の添加(pHの低下)が必要であることがわかっている。そこで、加水分解反応中の溶液が酸性であることから、陽イオン交換樹脂層を通過した酸性水溶液を循環させ、可溶化に利用することで、塩酸を使用せずに可溶化できるのではないかと考えた。この仮説に基づき実証実験を行うとともに、アミノ酸を高収率で獲得するための反応条件の検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予算時よりも物品を安く購入できたため次年度使用額が生じた。 次年度の試薬等消耗物品として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)