2013 Fiscal Year Research-status Report
転写抑制因子PLZFによる骨芽細胞と軟骨細胞分化制御機構の解析
Project/Area Number |
25870785
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
内藤 昌子 日本大学, 歯学部, 助教 (40436803)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 骨芽細胞 / 軟骨細胞 / 間葉系前駆細胞 / Glucocorticoid / 転写因子 |
Research Abstract |
Glucocorticoids は、抗炎症、抗アレルギー、抗リウマチ作用を有する一方で、骨組織などに深刻な副作用をもたらす。本研究では、Glucococrticoidによる骨形成や骨代謝障害のメカニズムを細胞生物学的に解明することを目的とし、Glucococrticoidシグナルにより発現が誘導される転写抑制因子Promyelocytic Leukemia Zinc Finger (PLZF)に着目し、骨芽細胞分化と軟骨細胞分化における発現制御機構と機能を明らかにするものである。 骨形成におけるPLZF転写因子の機能に関する基礎的知見を得るため、本年度はPLZFの発現解析に主眼を置き研究を進めた。マウス長骨組織切片を用いた免疫染色法によりPLZFタンパク質の局在を解析した。その結果、皮質骨や骨梁の骨芽細胞や骨細胞に発現が認められた。骨端軟骨組織では、増殖軟骨は発現が弱く、前肥大軟骨・肥大軟骨・石灰化軟骨で顕著な発現が認められた。軟骨前駆細胞株(ATDC5)とInsulinを用いた軟骨細胞分化誘導モデルにおいても、分化に伴い発現量が増加することが推察された。これらの結果から、PLZFは、細胞増殖停止あるいは細胞分化に関連した役割を有することが推察された。またこれまでの報告と一致して、Glucocorticoid刺激は、間葉系前駆細胞株(C3H10T1/2)や、骨芽細胞様細胞株(MC3T3E1)、軟骨前駆細胞株(ATDC5)においてPLZF mRNA発現を有意に誘導することを確認した。 これらの結果は、骨芽細胞や軟骨細胞分化に関連した発現を示すPLZF遺伝子が、Glucococrticoidによる発現制御を受けることを示すものである。Glucococrticoidによる骨形成・骨代謝制御メカニズムの一つとして、PLZFがどのような役割を演じているのか、今後の解析が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究の進捗状況として、当初計画していた1)マウス長管骨組織でのPLZFの発現様式について明らかにできたこと2)今後機能解析に用いる骨・軟骨前駆細胞の細胞株でのPLZFの発現様式を確認できた点で、予定通りに研究を進めることができたと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策として、当初の計画通り、PLZFの機能解析を中心的に進めたいと考えている。現在までに、PLZF遺伝子の強制発現実験系としてプラスミドベクターを作成し、また、PLZF遺伝子の機能阻害実験系としてPLZFshRNAを導入するためのレトロウイルスベクターを作成した。これらの遺伝子導入実験を行い、PLZF強制発現細胞株とPLZF機能阻害モデル細胞株の樹立することを中心的に行う。これまでの報告により、PLZFの細胞内の局在する場所によりその活性が変化することが報告されているため、今後引き続きPLZFの細胞内局在を詳細に解析したいと考えている。
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