2016 Fiscal Year Annual Research Report
A comparative cognitive study on visual body perception
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25870794
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
松野 響 法政大学, 経済学部, 准教授 (90588047)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生物運動 / 時空間統合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ヒトとヒト以外の種との間の視覚的運動情報処理の同異に関する研究成果を論文としてまとめ、学術誌に発表した。また生物運動情報の視知覚認識に関する種普遍性と特異性についてさらに明らかにするため、昨年度に引き続き比較研究をおこなった。第一に、視覚弁別実験によって、生物運動知覚において重要な視覚情報の時空間統合特性をヒトとセキセイインコで比較した。光点刺激要素間の空間距離と呈示時間条件を操作しながら複数光点の変化の同期・非同期の視覚弁別課題を課し、弁別成績を比較した。実験の結果、セキセイインコはヒトに比べて高時間周波数、短時間インターバルでの光点呈示時の弁別成績が相対的に高い一方、空間間隔の増大に対して弁別成績の低下が顕著であることが示された。第二に、異なる生物運動パターンに対するセキセイインコの行動反応を調べた。ヒトを対象とした先行研究において検出感度が異なることが示されている異なる相互作用意図を含んだ2パターンの生物運動刺激を呈示し、対象個体の刺激に対する近接や呈示時の対象個体自身の運動反応量を記録した。結果、静止画像呈示時に比べ動画刺激呈示時の運動反応が増大する傾向がみられたものの、刺激の運動パターンの違いによる反応の差異は見られなかった。第三に、異なる身体運動パターンを持つ脅威対象・非脅威対象の生物運動刺激呈示時のセキセイインコの身体運動反応を調べた。生物運動刺激および2種類の統制刺激(静止画像・画素変化量の等しい動画像)を呈示した際の刺激への近接時間、運動反応を測定した。結果、脅威対象の生物運動に対する反応は統制刺激に対する反応と差異がなかった一方、対象個体と類似の運動パターンをもつ非脅威対象の生物運動に対する運動反応量は増加する傾向が見られた。これらの結果は、生物運動の視知覚認識に種固有の視知覚特性、運動の制約が関与していることを示唆している。
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