2014 Fiscal Year Annual Research Report
薬物間相互作用によるイオン液体型分子複合体の物理化学的特性および皮膚透過性の検討
Project/Area Number |
25870795
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
古石 誉之 星薬科大学, 薬学部, 助教 (90385980)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | イオン液体 / 鎮痛剤 / 経皮吸収 / 溶解度 / 分子複合体 / 物理化学的特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
薬物同士を組み合わせることにより,室温で塩となる複合体,すなわちイオン液体を形成し,その物理化学的特性と皮膚透過性を確認した.非ステロイド性消炎鎮痛剤であるフルルビプロフェン(FLU)と局所麻酔剤であるリドカイン(LDC)とを,モル比1:1の割合でエタノールを用いて加熱混融することにより,室温でゲル状の非晶質複合体の形成を見出した.この複合体中におけるFLUとLDCとの分子間相互作用について評価を行った.全反射型-FTIR測定の結果から,複合体ではFLU単味由来の1695 cm-1のピークが消失し,1686 cm-1に新たなピークが観察された.次に,-100から130℃の温度範囲で示差走査熱量測定を行った結果,複合体では薬物単味の融解に伴うそれぞれの吸熱ピークは消失し,明瞭な吸熱ピークは認められなかった.また,13C固体NMR測定を行った結果,複合体では11.0 ppmにFLU,LDC単味では認められなかったピークが新たに出現した.また,FLUのカルボキシ基を形成する9位の炭素由来のピークが単味では184 ppm付近に観察されたのに対し,複合体では178 ppmに観察され,高磁場シフトしていることが確認された.さらに,FLUおよびLDC単味において110から140 ppm付近に認められる芳香環部由来のピークは,複合体ではブロード化していることが分かった.以上より,FLUとLDC間では分子複合体が形成され,その結果,ゲル状物質が生じていることが明らかとなった.さらに,ヘアレスマウス皮膚透過性を行ったところ,複合体からのFLUの皮膚透過性はFLU単味よりも約2.5倍増大した.これは,複合体中のFLUの溶解度が単味と比較して約150倍増大したことに起因していると考えられた.以上より,FLUとLDCはイオン液体を形成することにより,新たな経皮吸収型鎮痛剤となる可能性が示された.
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Research Products
(9 results)