2014 Fiscal Year Research-status Report
核プロテオミクス分析法の開発と蛋白質ネットワークの解明
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25870798
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
一番ヶ瀬 智子 武蔵野大学, 薬学研究所, 客員講師 (40453956)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 核タンパク質 / スーパーオキシドアニオン / プロテオーム解析 / 抽出再現性 / 高速液体クロマトグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では申請者らが開発したプロテオーム解析法を用いて活性酸素であるスーパーオキシドアニオン(O2-)の消去酵素スーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1)を欠損した細胞の核プロテオミクス分析法の開発を行い、O2-の核内への影響を明らかにすることを目的とする。研究は当初順調に進行していたが、前年度の結果から、取り扱う細胞(ニワトリ DT40 細胞)の核膜が文献に記載されている以上に極めて脆弱であることが判明し、再現性のある核タンパク質の回収が困難であった。そこでキットプロトコール通りに抽出後、核タンパク質をロート型ゲル電気泳動にて濃縮する手法の導入を新たに検討した。濃縮方法はロート管状の筒にポリアクリルアミドゲルを充填したゲルを、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)の原理で濃縮する手法で、予備試験にてタンパク質の非特異的吸着が少なく、回収率が高いことが明らかとなっている。しかしながら、この手法は本来、SDS-PAGE の原理に則り、濃縮ゲルにて添加試料を濃縮後、分離ゲルにて分子量の順に試料を分離していく方法である。従って、添加試料の濃縮のみに使用する例は初めてであるため、条件の最適化、並びに評価を行う必要性があった。濃縮条件の最適化項目は、濃縮ゲルのゲル濃度、ゲル作製時間、ゲル長、泳動時間、及び電流値である。最適化の結果、それぞれの条件は、3.0%、120 min、5.0 cm、85 min、及び 10 mA であった。また、個々のロート管により、体積が若干異なるため、常に同一のゲル管を用いること、更にゲル作製前にゲル作製用緩衝液を 37oC、10 min 間加温、ゲル作製時の室内温度を常に 25oC と一定にすることで、濃縮操作の再現性を得ることができた(BSA で日間 RSD < 25%)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度途中に半年間の緊急入院をしたため、研究を継続することができなかった。退院後、速やかに再開中であるが、上述のように、研究計画の変更を余儀なくされ、計画通りに進まなかったため、当初の研究計画より大幅に遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は当初順調に進行していたが、昨年度、取り扱う細胞の性質上、定量的な核タンパク質の回収が困難であることが判明し、研究計画の変更を余儀なくされた。そこで新たに核タンパク質を濃縮する手法の導入を検討した。条件の最適化の結果、濃縮ゲルのゲル濃度、ゲル作製時間、ゲル長、泳動時間、及び電流値の条件はそれぞれ、3.0%、120 min、5.0 cm、85 min、及び 10 mA であった。また、使用ゲル管の統一、ゲル作製用緩衝液の加温、ゲル作製時の室内温度を一定にすることで、BSA で日間 RSD < 25% と濃縮操作の再現性を得ることができた。今後は、確立した条件を用いて、タンパク質の濃縮再現性を評価した後に、SOD1欠損細胞とSOD1発現細胞の差異分析へと応用する予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度途中に半年間の緊急入院をしたため、研究を継続することができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究課題の成果を取りまとめるため、試料の濃縮実験の追加実施費用、解析実験の実施費用、成果発表のための出張費に充てたい。
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