2014 Fiscal Year Annual Research Report
細胞小器官の熱産生ダイナミクスを可視化するケミカルプローブの創製
Project/Area Number |
25870817
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
新井 敏 早稲田大学, 重点領域研究機構, シンガポールシニア研究員 (70454056)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 蛍光温度計 / 蛍光色素 / イメージング / スクリーニング / ケミカルバイオロジー / 熱産生 / 褐色脂肪細胞 / 骨格筋細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、細胞内の熱産生のダイナミクスを実時間でイメージングできる化学プローブ型の蛍光温度センサー(以下、蛍光温度計)の開発を行っている。前年度は、熱産生を担うER(小胞)にターゲットできる蛍光温度計を用いて、HeLa細胞にカルシウムショックを与えた際に起きる熱産生を可視化することに成功した。続いて、最終年度は、同じく熱産生小器官であるミトコンドリアにターゲット可能な蛍光温度計を用いて、熱産生の可視化実験を行った。褐色脂肪や筋肉細胞(C2C12)にふりかけると、10分程度で十分な蛍光強度が得られた。続いて、ミトコンドリアの熱産生を誘起させるために、FCCPやノルアドレナリンを添加し、タイムラプスイメージングを行った。結果、ミトコンドリアの脱共役に伴い、膜電位が解消したことで、蛍光プローブがミトコンドリア内部から漏れ出し、これにより、熱産生(蛍光強度の減少に相当)と判別できなかった。続けて、ミトコンドリアの蛍光温度計を用いて、様々な細胞(NIH3T3,Chang,褐色脂肪,骨格筋細胞など)において、外部から熱をかけた場合の蛍光温度計の特性(縦軸が蛍光強度、横軸が温度で、傾きが温度感受性)を調べた。結果、褐色脂肪細胞以外の温度感受性の値はほぼ同じであったのに対し、褐色脂肪においては、感受性が低い値を示した。これは、熱産生細胞である褐色脂肪細胞のミトコンドリア内部の化学的な環境(温度を含めたpH、粘度、活性酸素濃度など)が他の細胞と異なることによるものと考察している。更に、研究期間後半では、核に指向性のある蛍光温度計も見出している。以上、オルガネラ指向性の蛍光温度計の幾つかを見出すことに成功し、ER温度計に関しては刺激による熱産生の可視化に成功したことから、概ね、研究提案書に予定していた通りの結果が得られたと言える。
|
Research Products
(3 results)