2014 Fiscal Year Annual Research Report
問題解決における技能としての数学作問の学習支援手法の考案
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25870820
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
小島 一晃 帝京大学, 理工学部, 助教 (30437082)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 数学学習 / 作問 / 作問の失敗 |
Outline of Annual Research Achievements |
線形一元一次方程式の文章題の作問を対象として,学習者の作問を改善する学習活動の検討を行った.平成25年度の研究において一般大学生の作問の経験データを分析した結果,作問における失敗の原因は数学関係欠落,数学関係不良,解法不一致,制約矛盾,制約不足,制約過剰に分類された.これらのうち前者の3つは,計算機システムによって失敗を自動的に診断したり,失敗が起こる兆候を検出することが可能であると判明した.残りの3つは,問題文の意味解析が必要となるため,自動診断が不可能である.そこで,後者の原因による失敗を防ぐため,学習者が失敗を起こさないような支援となる学習方法を検討した.ここでは,学習者に作問の例を評価させる学習活動を採用することを考案し,まず例を評価することの効果を実験的に検討した. 本研究の実験には,一般大学生が参加し,線形一元一次方程式の文章題の例題に基づき,この領域で新しい問題を作成する作問課題が与えられた.この課題を実施する前に,参加者には線形二元一次方程式の文章題の例題と,この例題から他者が作成した問題の例が示された.この例は,例題の解法構造を適切に複雑化することで作成された問題である.そして,参加者には例を評価することが求められた.参加者は,新規性と有用性の観点から例を評定し,その理由を自由記述によって報告した.参加者はその後,作問課題を実施した. 参加者が作成した問題は,多様性,問題の複雑さの観点から分析された.そして,先行研究において例を見ることなく同じ作問課題に取り組んだ参加者の結果と比較された.その結果,参加者の作問は多様性の観点からは改善されたものの,複雑さにおいては改善が見られなかった.また,作問の失敗についても,先行研究と比較して低減されなかった.この結果から,作問の例を評価する方法についてのさらなる検討の必要性が判明した.
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