2015 Fiscal Year Research-status Report
台湾原住民族社会可視化の影響の複雑性の解明:戸籍、地図、その記載情報の研究
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25870823
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
松岡 格 獨協大学, 国際教養学部, 准教授 (40598413)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 先住民 / 可視化 / 国家統治と社会 / マイノリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
台湾を例に国家による先住民族に対する統治について研究している。本科研では国家による地域社会の可視化、特に先住民族社会の可視化の過程を軸に統治をめぐる社会関係について検証している。台湾における近代国家の統治のうち、日本統治時代についてはデータ収集・整理が進み、成果を公開し始めている。 本年度は文献調査・整理および海外での現地調査と研究会合開催を中心に研究を進めた。台湾の戸籍や地図についての研究状況や関連のデータについては整理・分析を進めることができた。また台湾での現地調査では、原住民族のうちパイワン族の家名およびそれに関連する儀礼についての調査に進展があった。可視化にともなう先住民族文化の変化を考える時に、家名は重要なテーマとなる。また台湾の原住民族研究センターの協力を得て、実在する日本統治時代の戸籍の様式調査を開始することができた。様式調査によって現存戸籍のおおまかな作成時期を特定することで、史料としての性質を明らかにできると考えられる。いずれも、本テーマにとって重要な成果であるだけでなく、今後の原住民族研究のためにも重要な成果を導き出すことが期待される。 また今年度は先行して戸籍関連の研究を行ってきた上記原住民族研究センターの研究者と連携を深め、彼らを平成27年12月に日本に招聘して研究ワークショップ(国際研究集会)を開催し、日本の研究者も集まって情報を交換することで、記載事項と可視化資料との歴史的つながり、統治と社会の間の複雑な関係性についての知識知見を大いに深めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査・研究ともに順調に進んでおり、予想外の成果も出てきている。戸籍制度整備による社会の可視化過程については、戦前については整理が一段落しており、現在戦後の状況について整理しているところである。研究ワークショップの開催などを通して、他地域や台湾内の多民族との比較を行うことができているのが予想外の成果であり、これを通して理論的整理も進捗が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は最終年度のため、調査データの整理・成果の公開を中心に進める予定である。補足調査も行う予定である。
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Causes of Carryover |
2016年2月に行う予定であった台湾での現地調査が、現地協力者の都合で行えなくなったため、調査を先延ばしせざるをえなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の延期になった調査を、2016年8月に行う予定である。
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Research Products
(5 results)