2013 Fiscal Year Research-status Report
冷戦期アメリカの対イラン政策と石油国有化運動―イラン国内「世論工作」に関する研究
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25870828
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
貫井 万里 早稲田大学, イスラーム地域研究機構, 招聘研究員 (90549578)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / アメリカ / イラン |
Research Abstract |
アイゼンハワー政権がイランへのクーデター工作、すなわち、軍事介入によってモサッデク民族主義政権打倒を決定した政策決定過程の理解を目的に、アメリカ合衆国文書(FRUS)を分析した。その結果、クーデターが、1953年3月の国家安全保障委員会で決定されたことが判明した。 上記分析を踏まえ、アメリカ国務省極秘文書(Confidential U.S. State Department central files Iran : foreign affairs and internal affairs 1950-1954 [microform],University Publications of America, 1985)のうち、アイゼンハワー政権発足から、クーデターによってモサッデク政権が崩壊する1953年1月から8月の文書を重点的に通読した。同文書の中で、イラン国内の様々なグループが、在イラン米国大使館を通して、アメリカ政府に情報を提供したり、要望をしたりするなど接触を図っていたことが浮かび上がった。 さらに、2014年3月31日から4月5日まで、米国国立公文書館にて、上記の1985年に公表されたアメリカ国務省極秘文書のマイクロフィルムには、収録されていない未公開文書を調査した。その結果、8月19日クーデター前後に行われたワシントンの米国国務省と在イラン米国大使館のやりとりを具体的に理解することができた。しかし、1953年7月から9月の文書を中心に読んだため、その前後の文書をさらに通読、分析し、アメリカの政策が石油国有化運動に与えた影響とイラン国内「世論工作」の実態を包括的に理解する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、目標としていたアメリカ合衆国文書(FRUS)、アメリカ国務省極秘文書を通読し、さらに、米国国立公文書館で、未公開文書を読むことができた。しかし、全ての文書を読了していないので、再度、同文書館を訪問して文書を読む必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年3月に米国公文書館で入手した資料を再読し、さらに、アメリカ合衆国文書(FRUS)およびアメリカ国務省極秘文書、ペルシア語文献やインタビュー資料と比較検討して分析を深める必要がある。 そして、その成果を論文にまとめ学会で発表をする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
注文をしていた図書が年度内に届かなかったため。 アメリカ国立公文書館での調査および国際学会での発表を予定している。また、関連文献の購入、文書を効率的に整理するために、パソコン周辺機器や保存媒体を購入し、研究補助員を雇用する。
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