2016 Fiscal Year Research-status Report
精神障害者に対する「化粧を用いた社会参加支援プログラム」の有効性に関する研究
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25870835
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
石橋 仁美 東京工科大学, 医療保健学部, 助教 (30583900)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 化粧 / 作業療法 / 社会参加支援 / QOL / 人間作業モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
「化粧を用いた作業療法と作業療法対象者の化粧状況」に関するアンケート調査(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の精神科病院やクリニック等に所属する精神科作業療法士対象)では、76%の作業療法士が「精神科作業療法で化粧の支援が必要である」と答えたものの(Ishibashi,et al,2013)、現在化粧の支援を実施している施設は26%で、多くの施設が実施していない、あるいは以前実施していたが今は実施していなかった。また、本研究にて開発している「生活と化粧を関連付けた社会参加支援プログラム:Supporting Social Participation through a Cosmetic program(SSPC)」に「関心がある・少し関心がある」作業療法士は多く約72%いたものの、その施設を利用している対象者を被験者とするには、研究協力施設が少なく、十分なデータ数を確保することが課題となった。 また、SSPCを開発するためには、既存のプログラムと比較した、対象者からの詳細な意見・感想をインタビューによって聴取する必要があるため、まずは対象を精神障害を有する方と限定せず、地域在住の高齢女性(65歳以上85歳未満)として広く募集した。現在、東京都内においてSSPCの手技を熟知した作業療法士数名によって、3カ所でランダム化比較研究を実施しており、平成29年度も引き続き実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では精神障害を有する方を対象としていたが、データ数確保の課題、SSPC開発のために対象者からの詳細な意見・感想をインタビューする必要性を考慮し、地域在住の高齢者を対象にすることとした。現在、SSPC講習会を受講しSSPCの手技を熟知した作業療法士が数名いることにより、平成28年度初めよりランダム化比較研究を3カ所で行うことができている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、引き続き作業療法士へのSSPC伝達講習会を実施するとともに、現在実施している地域在住の高齢者へのランダム化比較研究を行い、データを集計、分析する。また、対象者からの参加後のインタビューによって、SSPCのマニュアルを改善していく。
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Causes of Carryover |
今後の研究の推進方策でも述べたように、平成28年度より研究対象を精神障害を有する方に限らず、地域在住の高齢者とした。平成28年度は3カ所の地域包括支援センターに協力を得ながら対象者を募集し、ランダム化比較研究(対照群は既存のプログラム、実験群はSSPC)を開始することができた。しかしながら現在もプログラムは続行しており、平成29年度も引き続き行うことを計画している。平成29年度はさらに数カ所で研究を実施して、データ数を確保する必要があるため、平成28年度のプログラム実施費用の一部を次年度へ繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は地域在住の高齢者に対するランダム化比較研究を3カ所で実施しており、引き続き平成29年度も実施場所を増やして行う。そのため、プログラム運営を行う作業療法士への謝金、運営を補助したり、教材準備やデータ入力をしたりする研究協力者への謝金、会場への旅費、参加者への謝礼、既存のプログラムに使用する材料費用などが必要となるため、その経費として使用する。
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