2014 Fiscal Year Research-status Report
温度応答性を付与した癌細胞造影剤の新規構造モジュールの構築
Project/Area Number |
25870836
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
岡田 朋子 駒澤大学, 医療健康科学部, 講師 (60409795)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | コラーゲンペプチド / 近赤外光 / 光熱治療 / がん / 糖鎖 / 造影剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、温度によって造影効果と体内除去速度を制御可能な、癌細胞に対する造影剤の新しい構造モジュールを創製することを目的とする。特に、光熱治療が可能な近赤外線(NIR)を利用するための造影剤を検討する。NIRを利用した方法は、診断だけでなく治療も同時に行うことが可能であり、癌への対処法として近年注目されている。しかし、一方では、NIR法のための造影剤は未だ種類が少なく、また副作用や実用性の点で改善が求められている。本研究で検討する構造モジュールは、NIRのための新しい造影剤を開発することにつながると期待できる。 平成25年度(初年度)は、”コラーゲンペプチドを組み込んだ造影剤の構造モジュールの設計および合成”について実施し、目的化合物であるNIR-POG10を得た。これは、NIRに応答する化合物である800CWが、コラーゲンペプチドに結合した構造を持つ。平成26年度では、得られたNIR-POG10の温度応答性および分光学的特性を評価した。円偏光二色性スペクトルを5 - 85℃の範囲で測定したところ、NIR-POG10の融解温度は65℃であり、Rpn値は0.48であることが分かった。このことから、NIR-POG10に安定ならせん構造を形成させる条件と、融解させる条件を明らかにできた。また、POG10と比較すると、コラーゲンペプチドのらせん構造の温度応答性は、800CWの有無で大きな差を生じないことも分かった。さらに、蛍光スペクトルを5 - 85℃の範囲で測定したところ、750 nm付近に極大を持つ蛍光がみられた(λex: 710 nm)。蛍光波長ピーク(λem)は、温度を上げていくと、測定温度範囲では、短波長側へ約20 nmシフトした。らせん構造のλemへの寄与は、今後解明していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度は、溶液中in vitroおよび細胞内in vivoにおいて、平成25年度までに得られた分子の温度応答性および分光学的特性を評価する計画であった。In vitroの評価は概ね計画通りに進んだが、in vivoの評価をまだ実施していない。これは、in vivoで評価するためにこれまでよりも多量に分子を得る必要があり、予定よりもNIR-POG10の精製に時間を要したためである。In vivoの評価は、平成27年度に繰り越しして実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた分子NIR-POG10のin vitroでの特性に基づき、平成28年度は、がん細胞を使ったin vivo評価を実施する予定である。さらに、NIRによる細胞破壊条件の最適化を行う計画である。
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