2015 Fiscal Year Annual Research Report
温度応答性を付与した癌細胞造影剤の新規構造モジュールの構築
Project/Area Number |
25870836
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
岡田 朋子 駒澤大学, 医療健康科学部, 講師 (60409795)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | コラーゲンペプチド / 集積 / 近赤外光 / 光熱治療 / がん細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、温度によって造影効果を制御可能ながん細胞に対する造影剤の新しい構造モジュールを創製することである。温度に応答した集積特性を示すコラーゲンペプチドを造影剤の構造モジュールに組み込めば、造影効果と体内除去速度を温度で制御可能になり、この分子を利用した副作用の小さい診断法と治療法の開発につながると期待した。本研究では、特に近赤外光線(NIR)を利用した光熱治療を可能にするための、新しい造影剤の創製を目指した。研究項目(1)~(4)について報告する。(1)造影剤の設計と合成、(2)造影効果の温度応答性と分光特性評価、(3)がん細胞ターゲッティング能の評価、(4)がん細胞の造影・破壊条件の最適化。最終年度は(3)と(4)を実施した。(1)では、 コラーゲンペプチドに、NIRに応答する色素を結合させた分子を設計し合成した。(2)では、(1)で得た分子の集積特性および蛍光特性が、ペプチドのみの場合と類似であることを明らかにし、温度で分子の集積制御が可能であることを確認した。次に(3)では、新しく合成した分子のがん細胞ターゲッティング能を評価した。当初はターゲッティングに糖鎖を利用することを計画していたが、糖鎖を要せずにがん細胞に分子を集積させる条件を見いだした。最後に、(4)では、新しく合成した分子を使ってがん細胞を破壊する条件をNIR照射下で細胞の顕微鏡像から評価した。合成した分子を混合した培養液を用い、コラーゲン繊維で被覆したグリオーマ(ヒト神経膠芽腫由来細胞)を培養した。得られた蛍光像から、細胞に合成した分子が集積していることを確認できた。続いて、この細胞にNIRを照射したところ、細胞破壊が観察された。未照射領域の細胞は破壊されなかったことから、この細胞毒性は、細胞周囲に集積していた分子がNIRを受けて引き起こしたものであることを明らかにした。
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